農政:全国会議員に聞く「どうするのかコロナ危機」
伊波洋一 無所属 参議院議員【緊急特集 全国会議員に聞く「どうするのかコロナ危機」】2021年9月16日
伊波洋一 参議院議員
○伊波洋一(いはよういち)
○「沖縄の風」代表
○参議院議員
○選挙区:沖縄県
○出身地:沖縄県宜野湾市
【現在の政府のコロナ対策についての評価と今後のコロナ対策についての提案】
○ワクチン
菅政権は、当初、ワクチン確保に出遅れた後、自治体に圧力をかけてまで接種促進を求めたが、4月末には政府の在庫が不足したにもかかわらず、7月まで公表をしないなど、各自治体で混乱が生じた。
希望する成人へのワクチン接種が急がれると同時に、今後は中学生以上の児童・生徒への接種も早期の実施計画を検討するべきである。ワクチンは、確立した知見ではないものの、3ヶ月から効果が薄れるという報告もあり、今後、海外でも実施されている3回目の追加接種(ブースター接種)の実施計画も検討するべきである。ワクチン2回接種者へのブレイクスルー感染も一定割合で起きているが、重症化や死亡には至っていない例がほとんどとされ、ワクチン接種の有効性が確認されている。
混乱なくワクチン接種を実施するためには、政府のワクチン確保情報が、接種主体である自治体や接種を求める国民に正確に公表される必要がある。これまでの政府の情報隠蔽体質を改める必要がある。
○医療体制
コロナパンデミックが認められた早い時期から、医療提供体制の整備が求められていたにもかかわらず、政府の対応は遅れ、デルタ株を中心とする今年8月の第5波では病床が不足し、入院待機・自宅療養を余儀なくされた多くの陽性者が死亡するという、悲劇が繰り返された。
病床不足の解消と臨時の宿泊療養施設を整備が急務である。病床不足の解消には、民間病院への入院受け入れ要請だけでなく、旧国公立病院へも要請すべきだ。
ただし、入院受け入れ要請は、現行の診療報酬制度の見直しも必要となるため、時間がかかることが予想される。そのため、当面の課題としては、いわゆる「野戦病院」型の臨時の宿泊療養施設を整備し、地域の病院や医師会などの協力を得て、懸念される次の感染拡大に備えるべきだ。
○国民生活と経済活動
飲食店などを対象にした自粛要請で、十分な経済的補償をせず、そこで働いていた人々を含め、サービス業の多くの人々が困窮している。十分な休業補償が必要。
対面型の経済活動に従事する人への早期のワクチン接種、海外からの入国に伴う検疫(いわゆる「水際対策」)と国内公共交通の利用者に対する感染拡大防止策(ワクチン、検査陰性含む)の徹底が必要。今後は、飲食事業やイベント事業、観光業など業種ごとの感染防止対策実施済みの認証制度や公的なワクチン接種済・検査陰性証明による経済活動の段階的緩和を検討すべきだ。
○検査体制の拡充
安倍・菅政権は、初期のクラスター対策の成功体験から検査抑制にこだわって、検査対象の拡大や検査に対する疑義の蔓延を放置し、オリ・パラで提供されたような国際標準の検査体制(毎日ないし週1、2回検査)は国民には提供されなかった。PCR検査体制の強化についても、地方自治体が独自に整備する際、重い経済的負担を強いられている。
医療・介護・福祉・保育従事者・学校の教師・自治体職員・清掃員などのエッセンシャルワーカーには、定期的な検査を提供すべきである。
また、民間検査の結果が行政検査に活用されない状況を改め、両者の連携について法整備すべきである。
【コロナ禍で見えてきた日本政治のあり方】
安倍・菅政権は、「モリカケ桜」に代表される政府の私物化、公文書の隠蔽・改ざんなどの、様々な問題において、政府としての説明責任を果たし、国民の信頼を確保しようという姿勢に欠けている。安倍・菅政権は事実上、要請による人流抑制とワクチン接種のみに対策を絞り込んでしまい、当初はショック効果で人流抑制につながったものの、その後の緊急事態宣言においては人流抑制への国民の協力を得ることを難しくしたのではないか。今後の政権には、国民に対して必要な情報を公開し、政府が真摯に説明責任を尽くすことを求めたい。
同時に、コロナ禍の政府の対応については、国会が独立した調査委員会を設置して検証することも必要だと考える。
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