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農政:迫る食料危機 悲鳴をあげる生産者

【迫る食料危機】「ピンチをチャンスに」農家と共に難局打開し「いのち」守ろう【JA組合長座談会】(1)2022年7月29日

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【出席者】
JA菊池(熊本県)三角修氏
JA常陸(茨城県)秋山豊氏
JA鹿児島きもつき(鹿児島県)下小野田寛氏
司会・文芸アナリスト大金義昭氏

肥料や飼料、燃油が高騰し営農継続が危機に瀕するなか、組合員を支え地域農業を存続させるJAの力が今こそ期待される。地域農業の課題に正面から向き合い、役職員一丸となって新たな展望を拓くためにどうJAの事業と運動を展開するか。JAトップに語り合ってもらった。

大金 コロナ禍で人流・物流・商流が滞り、消費・需要が減退して農産物価格が低迷しています。また円安でコスト高になり、これにロシアのウクライナ侵攻が加わって肥料・飼料・燃料などが急騰しています。
一方、かねてから指摘されているリスクには、地球温暖化に伴って多発する異常気象や自然災害があります。社会的には少子・高齢化が農業・農村・農協に大きな影響を与えている。さらには「新自由主義」が格差と分断と貧困を深刻化させています。こうした中で農業の現場では販売農家、とくに小販売農家が減少しています。
協同組合の世界では信頼・経営・思想の「三つの危機」が早くから唱えられ、JAグループは「農業・農村の危機」「組織・事業・経営の危機」そして「協同組合の危機」に直面してきました。このような全般的な危機を背景に、先の第29回JA全国大会では「持続可能な農業の実現」「地域共生社会」「協同組合としての役割発揮」を掲げました。「ピンチをチャンスに」が強く語られている今、生産現場を中心に地域の直近の現状からお話しください。

リーマンショック並みの20数億円の融資申し込み予想

JA菊池(熊本県)三角修氏JA菊池(熊本県) 三角 修氏

三角 JA菊池の販売高285億円のうち80%強が畜産なので、飼料の値上がりが大変です。肥料・燃料も上がっています。JAにはリーマンショックの時と同じくらい、総額二十数億円の融資申し込みがくるのではないかと思っています。リーマンショックの時は生産高が回復するのに7年かかりましたが、今回はそれより長くなるかもしれません。園芸部会、畜産部会からはすでに支援の要望も届いていますが、農家が苦労しているときは農協も血を流さなければと考えています。

後継者が「やっぱりやめるか」が一番困る

秋山 JA常陸は茨城県の北側、中山間地域が多く、家族経営が中心です。肉牛経営、リンゴの観光果樹園、サツマイモ・干し芋、特産の栗などを作っています。5農協が8年前に合併したのですが、谷筋のために販売でも購買でも効率が悪く、信用事業でさえ赤字でした。
コロナの影響は令和2(2020)年産米価の暴落から始まりました。中小の卸が買わなくなり、4000万円くらいの穴が空きました。3年度も米価が戻らず、組合員さんに頭を下げて前渡金を1俵9300円まで落としました。今年は「1万円以上に上げろ」と宿題をもらっています。牛肉価格は落ちず、サツマイモの値段も「紅はるか」のおかげで良いのですが、野菜は全般的に下がっています。
その中での肥料高。野菜農家はマルチも除草剤も上がり、「直売所で高く売ってくれないか」と言う。といって消費者に「高く買って」というのも難しい。せっかく確保してきた後継者が「やっぱりやめるか」というのが一番困ります。正念場は11月からでしょうね。
値引きすると事業益が出ないので、地域振興積立金を取り崩して直接支援しようと中央会に問い合わせたら「政府の支援を見てからにして」と止められました。でも、そのくらいやらないと農協は何をしているんだと言われます。

秋には対策を 「元気出してください」と伝える

下小野田 私は44歳の時にJA鹿児島きもつきの組合長になりました。1期で終わり、9年間のブランクがあって、7年前に2度目の組合長になったんです。その時考えたのは「縮小均衡から成長拡大へ」どう舵を切るかでした。7年前、246億円だった販売高は令和3(2021)年、311億円に増えました。子牛が高くなったのもありますが、農協への信頼が高まり共販・購買が伸びました。897億円だった貯金残高も同じく1144億円に増えました。秋山さんがおっしゃったように国の動きを見ながら、秋には何らかの対策を打つ。「元気を出してください。農協がありますから」と伝えています。

畜産の借金は桁違い 生産者の営農意欲維持のために

大金 生産者の営農意欲が減退し、「リタイアしようか」というような声はありませんか。

三角 酪農家が大変です。畜産クラスター事業を活用し大きく展開している人は借金の額が全然違いますから。やめようかという声も、3、4軒から聞いています。乳価は2桁上げるのが精いっぱいですが、若い酪農家からは「30円でも40円でも上げなければやっていけない」と聞いています。

下小野田 311億円の販売額のうち75%が畜産で、その割合は上がってきています。繁殖農家の戸数は減っていますが、頭数が増えています。お金を借りての規模拡大です。据え置き期間があり、これから償還になるので、経営の中身を把握しながら支援していこうと思います。若い農家が多いので「芽を摘まないように」と思っています。

秋山 繁殖和牛は若手が育っていますが、配合飼料基金からの補てん金の交付が2、3カ月遅れる。みんな、そこが苦しいと言っています。農協としても組合員の支払いサイトを延ばしたりしているんですが......。

JA職員に元気がないと組合員も不安に

大金 役職員の皆さんはどのように対応しようとしていますか。

下小野田 畜産はJAの技術員が頑張らないと、農家だけの努力ではなかなか難しい。だから技術員が農家を訪ねて、一所懸命やっています。私は「職員は組合員の大事なパートナーだ。この難局をみんなで乗り切ろう」と言っています。

大金 事業が縦割りのせいで、パートナー意識が一般的に希薄だった経緯がありますよね。そうした課題については。

下小野田 7年前から言っているのは「チームきもつき」。みんなの気持ちは一つなんだ、金融だろうが共済だろうが経済事業であろうが、「チームきもつき」として取り組んでいく、ということです。職員と組合員とはパートナーですから、職員に元気がないと組合員も不安になります。そこで職員の給料を上げ、手当も上げてきました。組合員からも「職員の給料を上げてくれ」という声を多くいただいています。

「小集団活動」で「自律創造型職員」育成

大金 JA菊池では「小集団活動」を長年にわたり取り組んでいますが、現状はいかがですか。

三角 「小集団活動」は平成23(2011)年に私が始めたんです。職員の話を聞いていると「隣は何をする人ぞ」みたいな状況があり、「それなら、お互いに話す機会を作ろうか」と言って作ったんです。5~10人のグループが55~56グループできました。
たとえば畜産課のテーマは「机の上と下」。毎週、誰の机がいちばん汚いかを投票する(笑)。毎週同じ人だと何とかしないといけないとなって、最終的にはみんなの机の上と下がきれいになったという話なんです。充実した活動のグループを年に四つ選んで役職員の全体研修で発表してもらっています。
自分や家族のことを現在はあまり話さないじゃないですか。ある職員が、毎週水曜日によく早退する。「何でだろう、こんなに忙しいのに」と周囲は思っている。その時、家には高齢者がいて、どこかに預けていて、迎えが必要なんだと分かれば、お互いの理解も深まりますよね。
メンバーの構成も活動も自由です。結果は求めません。「やらされ感があるなら、やめなさい」と言っています。お互いに職場環境を良くする趣旨で積み重ね、始めて4年経ったらがらりと変わり、「自律創造型職員」がだんだん育ってきました。
熊本県に1JA構想があって、来年の3月9日に臨時総代会を一斉に開きます。そこで一票を投じるのは、役職員ではなく組合員さん。3分の2の賛成が必要な特別決議ですが、組合員がどっちを選ぶか分からない。そこで私が宿題を出したんですが、もしJA菊池が反対だということになったとしたら、「10年間生き残れるかどうか、そのシミュレーションを作りなさい」というものです。そうしたら職員は一所懸命に取り組み、1月に宿題を出したのですが、4月には作ってくれました。販売額250億円、260億円などのシミュレーション結果が出て、思ったよりも減らない見込みです。
実は半導体企業のTSMCが菊池管内にあり、10~20年先も人口が約20万人で減らないという稀な地域です。その力を農協の事業にも取り込まねば、と考えています。

「良い農協」へ経営力上げ職員の待遇改善を

JA常陸(茨城県)秋山豊氏

JA常陸(茨城県)秋山豊氏

秋山 JAの販売高は90億円くらいで3分の2が山間地で、大きな水田は限られています。畜産・果樹でやっていくしかありません。
職員の話になると、県内でもっとも賃金の低い地域で合併して、同一年齢で最大3万5000円くらい格差があった。その是正のために総額1億8000万円かかる試算が出て、年2000万円を予算化し、2年やったところです。事業利益が赤字になったらできないので「利益を上げながら賃金是正をしていく」という説明を労働組合にもしています。同じ仕事をして同じ年齢で格差があれば、モチベーションが上がらない。何とか是正したいと考えています。
それからわれわれの弱いところは、農業振興計画がないことです。それを作るだけの分析力や企画力がない。コンサルを入れて農業振興計画を作るのは好きではないので、自分たちで作りたい。そのために職員の人材育成が課題です。
チームワークやモチベーションを上げて「良い農協」にしていくには、経営力を上げて職員の待遇を改善する。そこをどうしても実現したい。半分赤字だった農協を合併して、ようやく黒字化しましたが、組合員さんからは「営農指導員は減るわ、営農センターは遠くなるわ、いいことない」と怒られていますが、単協の幹部職員は単協で育てていくという方針で取り組んでいきたい。

「ピンチをチャンスに」農家と共に難局打開し「いのち」守ろう【JA組合長座談会】(2)

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