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農政:迫る食料危機 悲鳴をあげる生産者

【迫る食料危機】「ピンチをチャンスに」農家と共に難局打開し「いのち」守ろう【JA組合長座談会】(2)2022年7月29日

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【出席者】
JA菊池(熊本県)三角修氏
JA常陸(茨城県)秋山豊氏
JA鹿児島きもつき(鹿児島県)下小野田寛氏
司会・文芸アナリスト大金義昭氏

農業振興計画を作成する人材育成を

大金 人材育成に関してはどのようなグランド・デザインを描いていますか。

秋山 選抜・採用段階から、農業が好きで、農協で農業に関する仕事をしてみたいという人を採用したいです。金融などは後から覚えられます。農家の長男を採用するのは、農家にとってどうかという意見もありますが、農協に入ると視野が広がるので、戦略づくりの人材になってもらい、その後、農家を継ぐのもいいのではないか。農業振興計画を作成する人材育成が課題です。

JA鹿児島きもつき(鹿児島県) 下小野田 寛氏JA鹿児島きもつき(鹿児島県) 下小野田 寛氏

下小野田 われわれも六つの農協が合併したんですが、決して経営がいい農協が集まったわけではないので、大変に苦労しました。私も自前で人材を育てないと本物とはいえないと思っています。

秋山 健全な経営はもちろん大事ですが、削減してはいけない事業もあります。われわれは2カ月に1回、一般住民向け機関紙を出しています。食と農の情報のほか、11市町村の行事などを載せています。結構評判がいいのですが、なぜ農家以外に向けた情報紙を出すのかという批判もあります。しかし、この発行があって初めて農協のやっていることが伝わり、農協は地域のために一所懸命やっているなと分かってもらえます。
つぶすのは簡単ですが、つぶしてはいけない事業もあります。ヨーグルト事業も3000万円の赤字で、「これがなければ、もっとボーナスを出せるのに」と思いますが、JAの看板商品になっています。地元の生乳を使った甘めの濃厚なヨーグルトで、評判がいい。これからも続けていこうと思います。

職員一人ひとりにメッセージカード贈る

下小野田 私が40代で組合長になったとき、隣の農協が破綻し、その事業譲渡でわれわれが受けました。とにかく改革を進めようと組織や制度に目を向けていて、それを支える肝心の「人」に目が向いていなかったというのが1期目の反省でした。
そこで2期目は、経営改革を進める人間にもっと目を向けなければという思いでやってきました。
いわゆる優秀な人材だけではなく、ごく普通の人がいかにそれぞれの役割を発揮できるような雰囲気やチームを作っていくのか。運動会やバーベキュー大会を開き、賞与の時には一人ひとりにメッセージカードを贈っています。最初700人分を全部手書きにしたら大変で、その後は印刷にしたのですが(笑)、とにかく思いを伝えたかった。
一つだけ自信があるのは、一人ひとりの職員を大切にしたいという思いで、支所に行ってもどこの部署に行っても、全職員のところを回るように心がけていることです。

秋山 なるほど。いい話を聞きました。今度、自分で回ろう(笑)。

大金 人材が最も重要な経営資源ですね。リスクの全面化に直面する中で、食と農と「いのち」と平和を守るのが農協の大きな役割だと思うのですが、これからの舵取りについてお聞かせください。

自給率向上と温暖化防止へ「旬産旬消」も

三角 5~6年前から温めてきた構想があります。「地球温暖化防止と食料自給率向上」です。JAでは「えこめ牛」というブランド牛を生産しています。エコと米とをかけたもので、菊池でとれた飼料用米をホルスタインに与えています。日本の畜産は米国のトウモロコシなど外国産の飼料で牛を育ててきました。それを米など国産の飼料に切り替えることで地球温暖化の防止・フードマイレージの減少・カーボンニュートラル、それらができると思っています。
それから「地産地消・国消国産」に加えて、もう一つは「旬産旬消」です。旬のものを旬の時期にいただくと身体にもいい。自給率を向上させながら地球温暖化も防止することを考えると、「国消国産・地産地消・旬産旬消」を広めるのが一番だと思いますね。
黄色に熟れたミカンをこの時期に食べなくちゃいけないかという疑問があります。あるいは、冬に暖房しながらスイカをなぜ作らなければいけないか。カーボンニュートラルのためには燃料をなるべく使わない方がいい。旬のものだったら油はいりませんから。
その先に、「国消国産」の度合いをポイント制にできないかと考えています。「えこめ牛」だったら、8%飼料用米を混ぜています。8%なら100グラムあたり3ポイント。外国産トウモロコシ使用の飼料をゼロとした場合、3ポイントプラスになるわけです。商品ごとにバーコードを表示し、スーパーのレジでスマートフォンを利用して読み取り、ポイントを貯めていく。たとえば1年で1万ポイント貯まったら、1万円になるというのが私の考えです。それには農水省・環境省・経産省・デジタル庁など横断的な国の施策が必要です。
自給率を上げようという掛け声だけでは、上がりません。消費者はどうしても安い方にいきますから。地球温暖化対策と食料自給率向上がバラバラではなくセットにして、JAグループとして国民のコンセンサスを得るように国民運動を展開するのが近道だろうと思うんです。
それからペレット堆肥の普及です。堆肥は広域流通するのにペレットでないとできないんですが、JA菊池では堆肥のペレット化に平成16(2004)年からいち早く取り組んできました。ただ、ペレット堆肥は乾燥させるのが難しく、3カ月くらいかかっていて、事業としては実は300万円ほど赤字なんです。農水省から視察に来た専門家からは、1日で乾燥できる技術があるという話も聞いているので、農家のコストを下げられるよう頑張らなければと思っています。

生産性低い地域で生き残るのは「オーガニック」

大金 秋山さんも「環境保全型農業」を考え、有機農業に力を入れておられますね。

秋山 大学時代の恩師から「資本主義社会では資本の論理がありとあらゆるものに貫徹する」と教えられ、それが農協に入ってからもずっと頭にありました。TPP問題のころは中央会の専務でしたが、TPPは「新自由主義」で絶対に阻止しなければと思ったんです。それが決着し、関税が引き下げられ、農産物価格の低下が始まりました。
そうしたなか、生産性の低い地域で生き残るのはオーガニックです。県も70%の補助事業を作りました。管内の市長も「学校給食を完全有機化したい」という公約で当選しました。それで農協も有機農業をやらざるをえなかった(笑)。
これまで化成肥料と農薬でやってきたのをどうするのか。内部では抵抗も強かったのですが、この春から「アグリサポート」という子会社で1haの畑を試験ほ場にして始めました。カボチャは収穫まで済み、今度はニンジンとサツマイモです。職員も「これはいけるんじゃないか」と変わってきて、「来年は田んぼでやる」と言い出しました。
そんなに手間はかからず、問題は土作りです。当面は学校給食にスポットを当てて作っています。3割くらいを有機に転換できればと考えています。

地域の資源生かし農家・住民とともに地域守る

下小野田 今さらながらですが、現状を乗り越えていくうえでのキーワードは「地域」だと思っています。われわれのところは農業地域なので、地域農業の中に農協をいかに位置づけるかです。結果として今回は、肥料原料がいかに外国に依存してきたかが明らかになりました。ペレット堆肥も含め、地域にはまだまだたくさんの資源がある。農家・住民と一緒になっていかに地域を守るか、まさにその闘いです。
農協は信用・共済・購買・販売という四つの柱がもちろん大事なのですが、われわれは農協が直接農業経営をする営農事業を五つ目の柱に据え、子会社も三つ作りました。さらに、組合員が一所懸命作った地域の農産物をいかに地域の皆さん、全国の皆さんに食べていただき、その良さを味わっていただくか。六つ目の柱としてフード事業を始めています。県内最大の直売所を作り、レストランや加工品にも取り組んでいます。
六つの柱をうまく回しながら、地域の農業を応援していく。それが組合員と地域の皆さんの「いのち」と暮らしを守ることだと考えています。

三角 日本人の胃袋を満たすということもありますし、地域の方々に農協を理解して盛り上げていただくことをお願いしたい。アグリキッズ・スクール(小学2年生から6年生)を開いていて、今年は希望者が多く、3・8倍の競争率になりました。農協が地域に足を着けていくために、テレビ・ラジオ・地元紙などでの情報発信が大切だと思っています。テレビには毎月三つほど出ています。

震災が教訓 「非常時の食」こそ考えるべき

秋山 「食料安保論」について最近思うことは、東日本大震災と福島第一原発の事故で茨城が有事になったときのことです。1週間、電気は来なかったし水道も出ない。その痛切な体験があるので、本当の「食料安保論」はそこから始めないとダメではないかという思いが強くある。
農協に最初に来た要請は食べ物でした。職員が女性部にも声をかけ、おにぎりを出そうとしたら、玄米はあるけれど電気がないから精米ができない。全農がたまたま持っていた精米を出し、ようやく炊き出しができました。そこを抜きにしたいわゆる「安全保障論」は、現場から見ると役に立たない。「憲法改正だ、徴兵制だ」と議論する暇があったら「非常時の食」をどうするかを考えるべきです。
「食料安保」は戦争、災害など有事に対して備蓄を拡大することと、TPPなどの自由貿易協定の全面見直しが必要です。備蓄は100万tの米備蓄を1000万tにすべきです。地域・農家で劣化しないもみで備蓄し、飼料用米、米粉などにも供給する。
たんぱく源、ビタミン源として大豆・畜産物、野菜・果実等を加工して備蓄するべきだと思います。
最後に、東海村のJCOと福島原発、2度の原発事故で500億円の被害を出した農協としては、原発をなくしてほしいですね。

つながりこそ宝 コロナ禍でも178回の会合

下小野田 原発は国の問題でもあるが、地域の問題でもある。地域住民を考えたときに原発を見過ごすことはできないと秋山さんは問題提起をされたと思います。有機農業などのように、新しい取り組みをするときも、人と人とのつながりが大事です。改めてわれわれは人と人とのつながりを大事にする農協グループでありたい。鹿児島だと県内だけのお付き合い、県連とのお付き合いはありますが、他県の農協の皆さんとつながっていけば、もっともっといろいろなことができると、今日改めて感じました。たまには県域を超えて農協が集まり、情報を発信する場があってもいいと思います。

三角 コロナ禍もあるけれど、顔を合わせないとダメですね。以前は常勤役員研修会などに行くと、セミナー・セミナーで大変なんだけれど(笑)、休憩時間に他の農協の役員と話すのが有意義でした。コロナ禍でも、うちでは感染予防を徹底しながら、178回の会合を持ってきました。

大金 それは素晴らしい。ともあれ、全般化するリスクを打開するために、それぞれの農協を起点にした横断的な交流を積み重ね、新しい国民運動が生まれていけばいいですね。本日はありがとうございました。

司会・文芸アナリスト 大金義昭氏司会・文芸アナリスト
大金義昭氏

【座談会を終えて】
降り続く雨の夜に、座談会は開かれた。難局に挑み、前を向くトップ・リーダーの高い志や熱意が会議室を飛び交った。多忙な日程を調整してくれたお三方の心意気に深い敬意を表したい。まさに、農業協同組合に寄せる愛あればこそではないか。(大金)









「ピンチをチャンスに」農家と共に難局打開し「いのち」守ろう【JA組合長座談会】(1)

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