挿し木 宇宙へ ドイツの学生プロジェクト2017年2月27日
BASF
BASFも支援する学生の宇宙農業研究プロジェクト(V3PO)の研究の一環で挿し木を乗せたロケットが、フロリダのケネディ宇宙センターから現地時間2月19日午前9時39分に打ち上げられた。無重力下で挿し木が根を生やすか検証する世界初の学生実験が、国際宇宙ステーション(ISS)で行われる。
V3PO(軌道上植物繁殖)プロジェクトはドイツのラーフェンスブルクにある農業高校出身のマリア・コッホさん、ラファエル・シリングさん、デイヴィット・ジェレイさんの3人が、宇宙ミッションの食料供給を目的に宇宙で植物を挿し木から育てられるか検証するもの。BASFやNASA、ドイツ連邦経済エネルギー省などがスポンサーとして参加し支援している。
今回、SpaceXロケットに搭載され打ち上げられた挿し木は、15mmのフィクスプミラ(和名「オオイタビ」、クワ科イチジク属の常緑つる性の植物)で、(1)小形の植物、(2)4℃から28℃までの温度差に耐性あり、と宇宙空間の飛行への要件を満たしている。プロジェクトメンバーの3人は、AFEx Habitatと呼ばれるハイテク実験容器の中に入れた寒天培地に挿し木を植え付けた。宇宙で30日間実験が行われ、その後地球に戻ってから分析される。また宇宙実験後は、地球の重力影響下での対照実験も予定されている。
BASFは研究ノウハウなど、同社製品、実験材料・装置を提供してプロジェクトメンバーをサポート。3人はドイツのリンブルガーホフにあるBASFの農業研究所のインターンシップに参加。また挿し木を宇宙ステーションでの研究機関と前後の宇宙飛行で健康に保つために同社殺菌剤のXemiumとInitiumが使われた。
これまで無重力下では、種子の成長に重きを置いた実験がされてきたが、挿し木が宇宙の植物繁殖に利用できることが分かれば、火星飛行など長期の宇宙ミッションでの食料供給への一歩となる。
マリアさんは「一生に一度の経験」とコメント。またラファエルさんは「宇宙農業が現実となる遠い未来から見れば、僕たちは先駆者となっているかもしれません」と話したという。
BASF農薬事業本部の開発初期殺菌剤生物評価事業部担当Dr.セバスチャン・ローラーは「これまで私たちの実験が地球外で行われることはなかった。BASFのイノベーションに対するアプローチは人とつながるという考えに基づいている。学生プロジェクト支援もその一例。このような若者たちが、農業分野での未来のイノベーションを担っていくでしょう」と評価している。
(写真)このプロジェクトに取り組む学生ら。国際宇宙ステーションに打ち上げる植物「オオイタビ」を持って。
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