新生コルテバ・アグリサイエンスが今後の展開と事業を紹介2019年7月19日
100%農業に特化した新会社として6月にスタートしたコルテバ・アグリサイエンス(東京都千代田区)は18日、東京・大手町のサンケイプラザでグループ全体のおもな事業内容について説明会を開催。種子、農薬、デジタルという主要な3分野の今後の事業展開や目標などについて紹介した。
新たなスタートを切った
コルテバ・アグリサイエンスについて紹介する藤井茂樹社長
同社は、デュポン、ダウ、パイオニアの3社の歴史と経験をベースに、農業に特化した企業として6月3日にニューヨーク証券取引所に上場。今後は、生産者の課題を解決するために農薬、種子、デジタル分野における技術革新を進める。また、労働力不足、生産者の高齢化、成熟市場など日本の農業を取り巻く環境もふまえ、世界140カ国で展開する同社ならではの技術を課題解決に役立てる。
コルテバ・アグリサイエンスグループのダウ・アグロサイエンス日本およびデュポン・プロダクション・アグリサイエンスの藤井茂樹社長は、「コルテバの存在目的は、生産者と消費者の生活を豊かにし、確実に次世代につなぐこと。製品、サービスをお届けする生産者のみならず消費者までもフォーカスしたのがユニークなところ」と説明。また、核となる事業プラットフォームに種子、農薬、デジタルという3つの分野を挙げ、「それぞれを強化してくことも大事だが、この3つを組み合わせることでコルテバらしさを強化していきたい」と語った。
核となるプラットフォームのひとつ、米国の老舗種子メーカー、パイオニアを引き継いだ「種子」は、世界の種子市場ではバイエルに続く2番目で、売上は80億ドル(9000億円)。大部分がトウモロコシと大豆で、そのうちトウモロコシが売り上げの66%、大豆が20%を占める。地域に合った品種改良に取り組み、時代ごとの新しい技術を取り入れながら生産性を向上してきた。特に近年は遺伝子組み換えとゲノム編集技術を用いた品種改良に取り組んでいる。
ゲノム編集技術では、製品化の第一号がドレッシングやお菓子、ガムテープの糊に使われるワキシーコーン。家畜のえさとなるデントコーンとは遺伝子一つの違いででんぷんのアミロペクチン量が増え、もちもちしたトウモロコシになる。このように、ポイントを狙って性質を変えられるゲノム編集に適した品種改良も業界に先がけて進めている。
デジタル分野では、大規模な農業生産を行う北米で1500以上のとうもろこしや大豆農場でドローンが成育を見回り、ほ場の可視化などに同社のデジタル技術が使われている。
一方、生産者向けには収益の向上に貢献するソフトウェア「Granular(グラニュラー)」を提供。公共の気象データや、ほ場の生育状況、第三者の所有データ(トウモロコシの市場価格など)を総合的に分析することで的確な収量予測や目標設定、栽培指導を提案する。このソフトで実際に収益を上げた米国の生産者は、新しい投資先を決める際の意思決定や、営農ノウハウの次世代への継承にも役立てているという。
農薬のプラットフォームは、除草剤の総合システム「エンリスト」、除草剤の「アリレックス」「リンズコア」、殺虫剤の「イソクラスト」、殺菌剤の「イナトレック」など新製品の成長を軸に現在の売上770億円から2023年までに3000億円を目標に掲げる。これは、全世界の農薬市場の成長率2~4%を超える3.5~6.5%にあたり、より大きな成長をめざす。
また、現在、除草剤、殺虫剤、殺菌剤の分野で多くの開発が進んでおり、総合除草システムのエンリストや3つの作用性を持つ除草剤、ヨーロッパの小麦向けに開発された天然物から作る殺菌剤インナトレックなど今後も、続々と将来の基盤となる農薬の研究開発を進めていくという。
重要な記事
最新の記事
-
令和6年春の叙勲 5人が受章(農水省関係)2024年4月29日
-
シンとんぼ(90)みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(1)2024年4月27日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(8)【防除学習帖】 第247回2024年4月27日
-
土壌診断の基礎知識(17)【今さら聞けない営農情報】第247回2024年4月27日
-
【欧米の農政転換と農民運動】環境重視と自由化の矛盾 イギリス農民の怒りの正体と運動の行方(2)駒澤大学名誉教授 溝手芳計氏2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内で多発のおそれ 熊本県2024年4月26日
-
【注意報】核果類にナシヒメシンクイ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年4月26日
-
【注意報】ムギ類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年4月26日
-
「沖縄県産パインアップルフェア」銀座の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年4月26日
-
「みのりカフェ博多店」24日から「開業3周年記念フェア」開催 JA全農2024年4月26日
-
「菊池水田ごぼう」が収穫最盛期を迎える JA菊池2024年4月26日
-
「JAタウンのうた」MV公開 公式応援大使・根本凪が歌とダンスで産地を応援2024年4月26日
-
中堅職員が新事業を提案 全中教育部「ミライ共創プロジェクト」成果発表2024年4月26日
-
子実用トウモロコシ 生産引き上げ困難 坂本農相2024年4月26日
-
(381)20代6割、30代5割、40/50代4割【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月26日
-
【JA人事】JA北つくば(茨城県)新組合長に川津修氏(4月20日)2024年4月26日
-
野菜ソムリエが選んだ最高金賞「焼き芋」使用 イタリアンジェラートを期間限定で販売2024年4月26日
-
DJI新型農業用ドローンとアップグレード版「SmartFarmアプリ」世界で発売2024年4月26日
-
「もしもFES名古屋2024」名古屋・栄で開催 こくみん共済coop2024年4月26日