早まる越年り病株の初発時期 令和2年度 病害虫発生予報第1号 農水省2020年4月23日
農林水産省は4月22日、「令和2年度 病害虫発生予報第1号」を発表した。
向こう1か月の主要な病害虫の発生予察情報によると、水稲では、適切な種子消毒の実施を、また、麦類の赤かび病については生育状況を的確に把握し、適期防除を実施するよう求めている。
野菜類では、たまねぎのべと病の発生が近畿、中国、四国および北九州の一部の地域で多くなると予想。暖冬傾向の今年は、越年り病株の初発時期が早く、り病株が増加するおそれがある。ほ場の見回りや、り病株の抜き取りを実施するとともに、都道府県が発表する発生予察情報などを参考に薬剤防除を的確に実施すること。
このほか、いちごのハダニ類等の発生が多くなると予想されている地域がある注意が必要。
果樹では、果樹カメムシ類の発生が近畿と九州の一部の地域で多くなると予想。同虫の飛来状況は地域や園地により異なるため、園内を注意深く観察し、飛来が認められた場合は、飛来初期から防除を実施する。
各作物の詳細は以下の通り。
◎水稲
昨年、いもち病、もみ枯細菌病、ばか苗病等の種子伝染性病害の発生が多かった地域では、種子消毒などを的確に実施し、健全な苗の育成に努める。特にいもち病とばか苗病については、一部の薬剤に対して耐性菌が発生しているため、都道府県から提供される発生予察情報などを参考に効果的な薬剤による防除または温湯による処理を実施する。
◎麦類
赤かび病は、感染しやすい時期を捉えた防除が重要で、麦の種類ごとに防除時期が異なる。昨冬から今春にかけて気温の上昇が大きかった地域では、麦の生育が当初の予測よりも早まる。すでに、出穂が早まったほ場もあるため、都道府県の提供する発生予察情報などを参考に、地域ごとの防除適期を確認して的確に防除を実施する。
なお、防除適期に降雨が続く場合は、降雨の合間に防除を実施する。
◎野菜・花き
<いちご>
ハダニ類の発生が、南関東、中国および北九州の一部の地域で多くなると予想。長崎県からは注意報が発表されている。同虫は発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、発生初期をとらえた防除が重要。ほ場の観察をきめ細かく行い、適期の防除を実施する。
また、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。農薬散布のみならず、天敵による生物的防除など各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討する。
<たまねぎ>
・アザミウマ類の発生が、四国と北九州の一部の地域で多くなると予想。香川県からは注意報が発表されている。同虫は作物を加害するほか、多くの病原ウイルスを媒介することが知られている。
発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、ほ場の観察をきめ細かく行うとともに、発生初期に防除を実施する。
また、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報などを参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。農薬散布のみならず、天敵による生物的防除など各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討する。
・べと病の発生が、近畿、中国、四国および北九州の一部の地域で多くなると予想。兵庫県、和歌山県、島根県、山口県、愛媛県、佐賀県および長崎県では注意報が発表されている。
暖冬傾向の今年は、越年り病株の初発時期が早く、り病株が増加するおそれがある。このため、ほ場を見回り、り病株の抜き取りを実施するとともに、都道府県から発表される発生予察情報などを参考に薬剤防除を的確に実施する。
◎果樹
<果樹共通>
果樹カメムシ類の発生が、近畿および九州の一部の地域で多くなると予想。福岡県と熊本県から注意報が発表されている。山林など越冬場所から離脱した成虫が春の気温の上昇とともに餌を求めて移動し、うめ、びわ等を加害する。暖冬傾向の今年は、地域によっては越冬調査における成虫捕獲数が多く、昨年夏以降に同虫の発生が多かった地域では特に注意が必要。
同虫の飛来状況は地域や園地により異なるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考にしながら、園内の観察をきめ細かく行い、飛来が認められた場合は、飛来初期から防除を実施する。
<もも>
せん孔細菌病の発生が、南東北の一部の地域で多くなると予想。福島県からは注意報が発表されている。同病は、春期に枝に形成される春型枝病斑(スプリングキャンカー)が伝染源となり、降雨や風により発生が助長される。
前年の発生が多かった地域では、病斑が形成されやすい環境となっているため発生が多くなると予想される。園内を注意深く観察し、発病枝が確認されたら確実に除去する。
<りんご>
黒星病の発生が、北海道と東北の一部の地域で多くなると予想。北海道、岩手県および山形県からは注意報が発表されている。
昨年の発生量が多かった地域では、伝染源が多くなっていると予想されるため、特に注意が必要。対策に当たっては、伝染源となるり病部の除去、薬剤散布などの防除を実施する。
また、一部の薬剤に対して耐性菌が発生しているため、都道府県から提供される発生予察情報などを参考に効果的な薬剤による防除を実施する。
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