昆虫成長を抑制する薬剤探索法を開発 農研機構2020年10月29日
農研機構は10月27日、幼若ホルモンの働きを抑える薬剤探索法の開発と新たな昆虫成長制御剤の候補となる化合物を発見したと発表した。これにより、特定の分子を標的とした新しい薬剤を希望通りに作ることができる可能性が示され、今後の創農薬研究の加速化に向けた利用が期待できる。
カイコの幼虫を使った抗 JH 活性化合物の効果の確認
幼若ホルモン(juvenile hormone、JH)は、昆虫の幼虫期間を正常に維持するために必要な昆虫固有のホルモンで、昆虫の種類によって化学構造が異なる。害虫がもたらす甚大な農業被害のほとんどは幼虫時期のため、昆虫の成長を制御するホルモンを制御し、幼虫期を縮小することで農作物の被害を最小限に抑えられる。
今回、農研機構は幼若ホルモンの働きを抑える化合物を簡単に評価できるシステムを昆虫の培養細胞とホタルの発光遺伝子を利用して開発。さらに東京大学創薬機構(岡部隆義特任教授及び米須清明特任講師)と協力し、同システムを用いて約20万種の化合物ライブラリーから、新規昆虫成長制御剤の候補化合物を約70種発見した。
発見した抗JH活性化合物の中には、チョウ目昆虫のモデル昆虫であるカイコの幼虫に処理すると、予想通り幼虫期が短縮され、小さい蛹に変態するものがあった。この成果により、特定の分子をターゲットに化合物ライブラリーの中から新たな農薬候補を探索できることを実証した。
今後は発見した化合物の化学構造をもとに、より活性の高い誘導体を合成することで農業害虫だけに高い効果を示す化合物の開発を進め、人体や環境に負荷の少ない新しい農薬の開発研究の加速化を目指す。
なお、今回の研究成果は10月27日に、英国の科学雑誌「Scientific Reports」にオンラインで発表予定。
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(1)養豚農家に寄り添い疾病を防ぐ クリニック北日本分室 菅沼彰大さん2025年9月16日
-
【石破首相退陣に思う】戦後80年の歴史認識 最後に示せ 社民党党首 福島みずほ参議院議員2025年9月16日
-
【今川直人・農協の核心】全中再興(6)2025年9月16日
-
国のプロパガンダで新米のスポット取引価格が反落?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年9月16日
-
准組合員問題にどう向き合うか 11月15日に農協研究会開催 参加者を募集2025年9月16日
-
ファミリーマートと共同開発「メイトー×ニッポンエール 大分産和梨」新発売 JA全農2025年9月16日
-
「JA共済アプリ」が国際的デザイン賞「Red Dot Design Award2025」受賞 国内の共済団体・保険会社として初 JA共済連2025年9月16日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」北海道訓子府町で じゃがいもの新品種「ゆめいころ」を収穫 JAタウン2025年9月16日
-
山形県産「シャインマスカット」品評会出品商品を数量限定で予約販売 JAタウン2025年9月16日
-
公式キャラ「トゥンクトゥンク」が大阪万博「ミャクミャク」と初コラボ商品 国際園芸博覧会協会2025年9月16日
-
世界初 土壌団粒単位の微生物シングルセルゲノム解析に成功 農研機構2025年9月16日
-
「令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨に伴う災害」農業経営収入保険の支払い期限を延長(適用地域追加)NOSAI全国連2025年9月16日
-
農薬出荷数量は1.3%増、農薬出荷金額は3.8%増 2025年農薬年度7月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年9月16日
-
林業の人手不足と腰痛課題解消へ 香川西部森林組合がアシストスーツを導入 イノフィス2025年9月16日
-
農業支援でネイチャーポジティブ サステナブルの成長領域を学ぶウェビナー開催2025年9月16日
-
生活協同組合ユーコープの宅配で無印良品の商品を供給開始 良品計画2025年9月16日
-
九州・沖縄の酪農の魅力を体感「らくのうマルシェ2025」博多で開催2025年9月16日
-
「アフガニスタン地震緊急支援募金」全店舗と宅配サービスで実施 コープデリ2025年9月16日
-
小学生がトラクタ遠隔操縦を体験 北大と共同でスマート農業体験イベント開催へ クボタ2025年9月16日
-
不在時のオートロックも玄関前まで配達「スマート置き配」開始 パルシステム千葉2025年9月16日