TBS報道特集「ネオニコ系農薬 人への影響は」に反論 農薬工業会2021年11月17日
農薬工業会は11月12日、TBSの番組「報道特集」で11月6日に放送された「最も使われている殺虫剤 ネオニコ系農薬 人への影響は」の内容について、農薬やその安全性評価体系に対して誤解を生じかねないとして、同番組に対する見解をホームページで発表した。
農薬工業会は、「報道特集」の農薬の人への安全性に係る部分について、科学界で合意を得ていないデータに基づく内容が随所に見られるとして7項目にわたって反論するとともに見解を説明している。
番組では、宍道湖で1993年を境にワカサギが取れなくなり、それが突然の変化だという東京大学の山室真澄教授の論文を紹介。ワカサギの減少とネオニコチノイド系農薬の販売開始時期が一致していることから、ネオニコチノイド系農薬の影響が疑われると考察している。山室教授の論文では、ネオニコチノイド系農薬販売量と動物性プランクトン減少・漁獲量の間の相関性が図で示されている。
これに対し農薬工業会は、島根県内のネオニコチノイド系農薬販売量は、1993年~1998年の6年間は年間約150キロ程度で推移し、1999年に同700キロに急増、その後直線的に増加し、2012年~2016年の5年間は、年間約3700キロと一定の量に達していると説明。一方、動物性プランクトンの推移は、減少傾向は1993年の10年以前から続いており、1993年に底打ちとなっているとしている。また、ウナギとワカサギの年間漁獲量は、1993年と1994年の間に激減し、その後は低位に推移していることが示されているとして、ウナギとワカサギ激減時期とネオニコチノイド系農薬販売開始時期の一致が示されているだけと説明。「1993年~1998年の最初の6年間のネオニコチノイド使用量がごくわずかな量であるため、1993年以降の漁獲量の激減と真の相関を表すとは言い難く、両者の相関関係が科学的に明確に示されたとは言えない」と反論している。
宍道湖を取り巻く環境については、山室教授も含めて多くの研究があるが、ネオニコチノイド系農薬が1992年に登録になったとして、突然の変化が起こったと報道されていることに、農薬工業会は「生物相の変化は、種々の要因により起こるものであり、原因については、科学的根拠により検討されるべきもの」と反論している。
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