糸状菌が生産する植物病原菌防除活性を持つ環状ペプチドの生合成遺伝子クラスターを発見 クミアイ化学工業ら2023年2月14日
クミアイ化学工業株式会社は、京都大学・吉見啓准教授、産業技術総合研究所・生物プロセス研究部門・梅村舞子グループ長、株式会社ファームラボ・熊谷俊高代表取締役、東北大学・阿部敬悦教授、金沢工業大学・町田雅之教授との共同研究で糸状菌(Curvularia clavata)が生産する植物病原菌防除活性を持つ環状ペプチド化合物(KK-1)の生合成遺伝子クラスターを発見し、遺伝子改変により生産性が向上することを見出したと発表した。
KK-1生合成遺伝子クラスターの発見と効率的生産実現への展望
今後、同研究成果は糸状菌が生産する環状ペプチド化合物の生産向上に役立つことが期待される。クミアイ化学工業は、みどりの食料システム戦略に繋がる新技術開発の一環として「糸状菌改変による抗生物質の生産性向上研究を活用した医農薬製造技術」の創出を掲げている。同研究は、技術開発を達成するための基盤研究として実施した成果。同研究成果は、2023年1月20日に「Frontiers in Fungal Biology」誌に掲載された。
環状ペプチド化合物は、医薬では標的分子上の広い範囲を認識できるため、低分子とは異なる新規作用性を有する創薬モダリティとして注目されている。一方、農業分野では枯草菌由来の環状ペプチド化合物であるイツリン等が、植物病原菌防除活性を示すことが知られている。しかし、低分子化合物と比較して構造が複雑で化学合成で安価に生産することが困難なため、農薬として開発された化合物は存在しない。
クミアイ化学工業らが注目したKK-1も、灰色カビ病菌を含む幅広い植物病原菌を防除することが分かっていたが、化学合成で安価に生産することは困難なことが予想される。同研究では、次世代シーケンサーと情報解析技術を駆使して、糸状菌(Curvularia clavata)の全ゲノムを解読した。加えて、同菌株の遺伝子改変技術を独自に構築し、遺伝子破壊および過剰発現株を作成して解析することで、KK-1の生合成に関与する遺伝子クラスターを同定することに成功した。さらに、生合成遺伝子全体の発現を制御する転写因子を過剰発現することで、KK-1生産性が約2倍向上することも確認された。
今後は、合成生物学的手法による環状ペプチド化合物の異種生物での生産技術の開発などの応用が期待される。
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