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農薬:現場で役立つ農薬の基礎知識2015

【現場で役立つ農薬の基礎知識2015】トマトの病害虫防除 情報を入手、早め早めに2015年9月15日

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的確に病害虫の防除を良品質なトマト安定的に生産へ
【灰色かび病】生物農薬と組み合わせ
【葉かび病】施設内の温度を下げる
【疫病】「保護殺菌剤」を中心に
【黄化葉巻病】防虫ネットで侵入防ぐ
【オオタバコガ】発生初期を逃さず防除
【ネコブセンチュウ】密度を把握、薬剤選ぶ

 トマトが日本の食卓に登場する果菜類の出荷量1位に返り咲いて久しいが、品揃えも大玉中心からプチトマトや高糖度トマトなど差別化商品が増えている。リコピンの含量の多さを謳ったものや、糖度8を超えるフルーツトマト、食味の良さをアピールするもの、赤や黄色をミックスしたカラフルで洒落たパッケージの高級感のあるものなど、色々な機能や形態で差別化されたトマトがスーパーなどの売り場で所狭しと並べられている。台風一過、急に酷暑が去っていった感もあるが、毎年この季節は、トマト栽培に適した時期でもあるが、オオタバコガなど被害の大きい害虫の発生時期でもある。これらの被害を抑え、良品質のトマトを安定的に収穫するためにも、しっかりと病害虫防除対策にのぞんでいただきたい。ついては、この時期のトマト防除で注意したい点を取材し、整理してみたので参考にしてほしい。

 秋冬期期は、オオタバコガなどの大型のチョウ目害虫が多く発生し、その後の冬から春にかけては、低温を好む病害が多くなる。ところが、施設栽培では温度管理などがしっかりとなされていることから、栽培期間を通じて病害虫が発生し続ける場合もあるので注意が必要だ。例えば、うどんこ病など1年中施設内で発生する病害も少なくないので、毎年発生している病害虫には注意が必要だ。
 防除で使用する主な農薬を別表に整理したが、紙面には掲載しきれないので、本紙ホームページに掲載したのでぜひ参考にしてほしい。
 栽培期間が長くなるトマトの場合、農薬の散布回数に気を配る必要があるので、この表では農薬の有効成分毎の散布回数を把握しやすいように、農薬名の他に有効成分の名前がわかるように種類名を加えたので参考にしてほしい。
 これは、農薬は商品の名称が違っても有効成分が同じ場合が多く、ローテーション散布を行う場合には有効成分名を確認する必要があるためだ。
 トマトに発生する主要な病害虫の防除のポイントを以下に整理したが、トマトの病害虫の場合、耐性菌や抵抗性害虫の発生も認められるので、指導機関などの情報は常に入手するように心がけてほしい。


【灰色かび病】 生物農薬と組み合わせ

 トマトの果実では花落部付近から侵入して、灰色のかびが生え、果実も腐敗して商品価値が著しく低下させる病害である。発病に湿度が大きく関わっており、防湿ファンを設置するなどして通気をよくするだけでも発病を減らす効果があるので一度試してみるとよい。
 たくさんの防除薬剤があるが、その多くに耐性菌が発生しており、薬剤を選択する場合には、現地でどの防除薬剤が効きにくくなっているのかをよく確認してほしい。
 防除対策としては、フルピカやベルクートなど保護殺菌剤の定期的散布を中心にして、適宜、高い防除効果を示すセイビアーやカンタス、スミブレンド、ゲッターなどを適宜ローテーションで使用するとよい。
 耐性菌の発生で選択できる農薬が狭まっている場合などには、エコショットやインプレッションといったバチルス菌を主成分にした生物農薬の利用価値が高い。生物農薬は使用回数制限が無いことから、これらを上手に組み合わせれば防除対策に幅ができるうえ、生物農薬と無機銅との混合剤など、散布回数制限がなく、しかも生物農薬単体よりも効果が安定している農薬も登場しているので試してみてほしい。


【葉かび病】 施設内の温度を下げる

 20度以上の多湿条件で多発し、葉裏に灰紫色のかびが生え、湿度が高いと葉表にもかびが生える。換気が不足する施設で発生しやすくなるので、換気をしっかりと行い、可能なら防湿ファンを設置して、できるだけ施設内の湿度を下げるようにしたい。
 病斑がついた葉や花がら、果実などを放置すると、そこから病気が蔓延していくので、できるだけ早く取り除き、圃場外に出して処分してほしい。
 防除は、ダコニール1000などの保護剤を中心に行い、アミスターやアフェット、トリフミンなどの効果の高い薬剤は、発生が多くなる前に使用する。ただし、これらの薬剤には耐性菌が発生している例があるので、事前に、耐性菌の発生状況を近くの指導機関などに確認してほしい。


【疫病】「保護殺菌剤」を中心に

 被害が大きく、葉を中心にトマトの各部位に発生する病害である。比較的低温で、湿度が高い時に発生が多くなるため、灰色かび病と同様に防湿ファンを設置するなど、通気をよくするとかなり発病を減らせる。
 最近では、疫病に登録のある薬剤も増えているが、耐性菌発生のリスクのある薬剤が多いので、同じ系統の薬剤を連続して使うようなことは厳に慎んでほしい。
 この病害も、ペンコゼブやダコニールなど保護殺菌剤を防除の中心にして、適宜、プロポーズ顆粒水和剤やリドミルゴールドMZ、ホライズンドライフロアブルといった、効果に定評のある薬剤を組み合わせて使用するとよい。
 効果の高い薬剤に関する情報は地域の指導機関などに問い合わせてほしい。


【黄化葉巻病】防虫ネットで侵入防ぐ

 新葉が巻いたり、小葉化、黄化などの症状が起こり、株全体が萎縮するなど、トマトに大きな被害を及ぼす恐ろしい病害で、シルバーリーフコナジラミが媒介する。
 このシルバーリーフコナジラミが、トマト黄化葉巻病ウイルス(TYLCV)を伝搬することによって発生し、短期間に圃場全体に病原ウイルスを伝播させる。このため、発生後まもなくして収量が激減することも多く、世界中のトマト農家に恐れられている。
 この病害を防ぐためには、まずはシルバーリーフコナジラミの侵入を防ぐのが重要で、ハウスの側窓や入り口、天窓への防虫ネット(0・4mm目)を設置してほしい。
 加えて苗での防除の徹底や、植え付け時に殺虫粒剤で植え穴処理または株元処理を行い媒介虫の生育初期からの防除の徹底が必要である。また、栽培終了後の施設の蒸しこみ処理、地域一斉対策(野良トマトの除去、周辺雑草の防除、家庭菜園への防除依頼など)など、実施可能な防除対策は全て実行するようにしてほしい。
 不幸にして発病した場合は、治療する手立ては何もないので、速やかに発病株を抜き取り、病原ウイルスの伝搬を速やかに防いでほしい。
 いくつかの指導機関などの情報を整理すると、タバココナジラミに効果の高い薬剤は、サンマイトフロアブル、スタークル顆粒水溶剤、ベストガード水溶剤の3剤である。これらについで、モスピラン水溶剤やアドマイヤー顆粒水和剤やアクタラ顆粒水和剤、ダントツ水溶剤、ハチハチ乳剤などに効果がある。防除薬剤の選択は、地域の指導情報などをよく確認して地域にあった防除対策を実施してほしい。


【オオタバコガ】発生初期を逃さず防除

 トマトの果実に穴を開けて侵入し、商品価値ゼロにしてしまうので被害が特に大きい害虫がオオタバコガである。トマトだけでなく他のナス科、ウリ科、アブラナ科、レタスその他多くの野菜や花卉を食い荒らす大食漢な害虫であり、盛夏から初秋にかけて被害が大きくなる。
 農村地帯でトマト以外のオオタバコガが好む作物があちこちに植えつけられているので、あちこちからトマトを襲ってくる可能性があることを十分に承知しておいた上で対策しておく必要がある。
 防除対策としては、オオタバコガの発生初期を逃さず防除し、効果のある薬剤を発生期間を通じて定期的に薬剤散布することが重要である。
 特に果菜類では、食い入られる前に防ぐ必要があるため、発生予察情報に十分に注意し、早め早めに防除を行うようにしてほしい。効果のある薬剤としては、アファーム乳剤、スピノエース顆粒水和剤、トルネードエースDF、フェニックス顆粒水和剤、プレオフロアブル、プレバソンフロアブル5、ベネビアODの評判がよい。


【ネコブセンチュウ】密度を把握、薬剤選ぶ

 土壌中にいる小さな生物であるセンチュウが作物の根に寄生して、根にコブを形成させる。コブの数が増えると根の機能が低下し、生育不良や葉の黄変などを起こす。トマトでは、サツマイモネコブセンチュウによる被害が最も多い。
 センチュウの密度によって薬剤の効果が異なってくるので、センチュウの密度を把握した上で対策を組み立てたててほしい。密度把握については、センチュウ剤の販売メーカーなどに相談するとよい。具体的には、土壌中のセンチュウ密度が少ない時には、ネマトリンのような土壌処理粒剤の土壌混和散布が効率的で効果も高い。 しかし、センチュウの密度が多くなると、土壌処理粒剤では防ぎきれないことが多くなるので、このような場合にはソイリーンなどの土壌消毒剤による徹底防除が必要になる。
 土壌消毒剤を使用する場合は、作業時の安全性確保や周辺施設への配慮や被覆の徹底などに十分に注意して実施してほしい。 
 これらの薬剤による防除で安定的な効果を得るためには、土壌にいるセンチュウの密度を低く保つことが重要であり、対抗植物「マリーゴールド」の作付けや太陽熱消毒など耕種的防除と組み合わせて上手にセンチュウ密度をコントロールするようにしたい。


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