農薬:防除学習帖
野菜の病害防除16 土壌病害(6)【防除学習帖】第62回2020年7月31日
土壌病害の病原菌は、多犯性(多くの作物を病害を起こす)のものが多いが、今回紹介する菌核病菌も多くの作物に被害を及ぼす病原菌である。
防除法については、他の土壌病害同様に耕種的防除と化学的防除にわけて紹介するが、全ての土壌病害に共通する防除法である輪作、太陽熱消毒、土壌還元消毒、蒸気・熱水消毒については、以前(土壌病害(1))紹介したので、ここでは、必要な場合を除き割愛する。
1.菌核病
菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)は、糸状菌(かび)の仲間で、子のう菌類に分類され、トマト、ナス、ピーマン、キュウリ、イチゴ、レタス、キャベツ等の多くの野菜類に発生する。
2.病徴と生態
晩秋から春にかけての、18~22℃前後の低温で多湿な時によく発生する。
前年に発生した被害残渣上に菌核を形成し、その菌核が土壌に落下して、発病に不適な夏(6月~9月)、冬(11月~3月)は、菌核の状態で越夏・越冬する。
秋や春になると子のう盤を形成して、子のう胞子を飛ばし、作物に感染する。
病斑部に白い綿状のかびを生じるのが特徴で、病斑の末期にはネズミの糞状の菌核を形成する。病斑上に胞子は形成しない。
土壌にある菌核が伝染減であるため、土壌病害に分類したが、伝染自体は子のう盤(キノコ状のもの)から放出される子のう胞子が作物に飛散して伝染する。
3.防除法
(1)湿度を下げる
多湿状態で発生が多くなるので、株間を広くし、余分な葉を取りのぞくなどして風通しを良くし、湿度を下げるように努める。土壌が湿潤であると発生が多くなるので、ほ場の排水をよくする。
(2)発病した作物残渣に形成された菌核が発生源となるので、病斑を見つけたらできるだけ早く取り除き、ほ場の外に出して適切に処分すること。
(3)登録農薬の使用
菌核病に登録のある農薬の一覧を表に整理したので、参考にしてほしい。
本病に登録のある農薬は、灰色かび病に登録のあるものと共通することが多いので、果菜類など灰色かび病が発生する作物については、本病との同時防除が可能な農薬が多い。
表は選択するための参考となるように記載したので、実際の使用にあたっては、ラベル等をよく確認して、用法、用量を守って正しく使うこと。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(164)-食料・農業・農村基本計画(6)-2025年10月18日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(81)【防除学習帖】第320回2025年10月18日
-
農薬の正しい使い方(54)【今さら聞けない営農情報】第320回2025年10月18日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第114回2025年10月18日
-
【注意報】カンキツ類に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 高知県2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(1)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(2)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(3)2025年10月17日
-
25年度上期販売乳量 生産1.3%増も、受託戸数9500割れ2025年10月17日
-
(457)「人間は『入力する』葦か?」という教育現場からの問い【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月17日
-
みのりカフェ 元気市広島店「季節野菜のグリーンスムージー」特別価格で提供 JA全農2025年10月17日
-
JA全農主催「WCBF少年野球教室」群馬県太田市で25日に開催2025年10月17日
-
【地域を診る】統計調査はどこまで地域の姿を明らかにできるのか 国勢調査と農林業センサス 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年10月17日
-
岐阜の飛騨牛や柿・栗など「飛騨・美濃うまいもん広場」で販売 JAタウン2025年10月17日
-
JA佐渡と連携したツアー「おけさ柿 収穫体験プラン」発売 佐渡汽船2025年10月17日
-
「乃木坂46と国消国産を学ぼう!」 クイズキャンペーン開始 JAグループ2025年10月17日
-
大阪・関西万博からGREEN×EXPO 2027へバトンタッチ 「次の万博は、横浜で」 2027年国際園芸博覧会協会2025年10月17日
-
農薬出荷数量は0.5%増、農薬出荷金額は3.5%増 2025年農薬年度8月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年10月17日
-
鳥取県で一緒に農業をしよう!「第3回とっとり農業人フェア」開催2025年10月17日
-
ふるさと納税でこどもたちに食・体験を届ける「こどもふるさと便」 IMPACT STARTUP SUMMIT 2025で紹介 ネッスー2025年10月17日