農薬:防除学習帖
果樹の防除4【防除学習帖】第93回2021年3月12日
果樹は、ほとんどの樹種に防除暦があり、それに従って防除を行えば一定の防除効果が得られる。前回までに、この防除暦の重要性と表記されている主な項目について解説したので、防除暦を見る際に何に注意すればよいかが理解頂けたと思う。
それでは、今回からは防除暦記載の時期別に防除のポイントを探ってみたい。
1.伝染源除去
果樹が芽吹く前までにやっておきたいことが伝染源の除去である。
果樹の病害は、前年の被害葉や被害枝、巻きひげなどで越冬することが多いので、第一次伝染源となるそれらをできるだけ除去して園地外に出し、感染の機会を減らしておくことが重要である。
一般的には、剪定作業の際に被害枝や巻きひげなどを除去することが多いが、その際には、剪定残渣は園地の外に出して、園地内に伝染源を残さないようにすることが重要である。その上で、園地の外に出した剪定枝などは地域のルールに従って適切に処理し、可能であるなら、焼却処分ができると安心である。
2.休眠期防除
休眠期とは、果樹が活動を停止し寝ている時期のことを指し、防除暦上は、発芽前とか萌芽前などと表記されていることも多い。いわゆる芽吹きの前の時期である。
この時期は、一見防除には関係なさそうであるが、越冬する病害虫の数を減らすのに最適な時期でもある。対象とする病害虫は、病害では、黒星病や胴枯病、黒痘病など芽基部や枯れ枝、前年の巻きひげなどで越冬しそれが第一次伝染源になるもの、害虫ではカイガラムシ類やハダニ類など樹皮裏などで越冬するものである。
これらの病害虫は、生育期に発生が多くなると防ぎきれないものが多く、果樹の生育期前にできるだけ密度を下げておくのが望ましい。そのような効果を発揮するのが、休眠期防除である。
この時期は、果樹が休眠しているので、あまり薬害の発生を気にすることなく生育期よりも濃い濃度で農薬を使用することができる。
下記の例では、越冬する病害虫に満遍なく効果を発揮する石灰硫黄合剤の使用が記載されている。この農薬は、生育期に使用すると激しい薬害が発生するため、必ず芽が動いていない時期に散布を終えるように注意する。また、前年にカイガラムシ類が多かった場合には、高濃度のマシン油剤を散布すると効果が高い。
これら休眠期防除は、樹種ごとに使用する農薬や、やり方が異なるので、防除暦と農薬ラベルをよく確認し、それらに従って正しく行ってほしい。
3.発芽期
リンゴやナシ、モモなどバラ科の果樹の大敵である黒星病は、低温を好み、ちょうど芽吹き始める頃に活動を開始し、芽基部などに第一次伝染源となる胞子を大量につくる。この時、雨が多いと発生が多くなる。このため、黒星病の防除には、この時期の防除が重要になる。
この時期では、葉がまだ出ていない時期であるので、銅剤など比較的強い薬剤を散布できるので、この例では銅剤を散布している。また、葉が無いので、満遍なく確実に芽基部に薬剤を付着させることができる時期で効果も高い。この場合も、防除暦に従ってしっかりと確実に防除してほしい。
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