国内流通36兆8221億円を富士経済が調査2015年7月21日
(株)富士経済が国内の小売店とダイレクトチャネルなど24チャネルにおける食品18カテゴリー60品目の市場規模推移や品目別販売動向などを調査した。
国内消費は2014年4月の消費税増税後の低迷から回復しつつあるが、消費者の節約志向は根強いままだ。また外国人旅行者による需要も首都圏などの主要都市に集中し、地方にはおよんでいない。2015年に入り食品の値上げが相次いでいることからも、食品業界の環境はより厳しさを増している。
食品流通業界は、シェア拡大や事業の効率化を目指して企業の統合や業務提携が進むなど、再編が加速している。
消費者の行動は総合スーパーや食品スーパー、コンビニ、インターネット通販など買い物の仕方が多様化している。流通企業はオムニチャネル(グループ連携でコンビニやネット、スーパーどこからでもアクセスすることができる)で対応するところも増えている。
○国内食品流通市場
2014年、36兆2843億円。2015年見込、36兆8221億円。2014年比、101.5%
・小売店市場で最大規模のSM(スーパーマーケット)では、都市部に出店を加速させるなど、微増を続けている。
・CVS(コンビニ)では店舗数が大幅に増加しているほか、商品面ではカウンターコーヒーが好調で惣菜カテゴリーの強化により今後も拡大が期待。
・高級スーパーや輸入雑貨店などでは、根強い節約志向を背景としながら、他の業界では手に入りにくい独自性を持った商品を取扱っている。
・GMS(総合スーパー)はSMなどへ顧客がシフトしており、不採算店舗の閉店が目立つほど縮小している。
・ダイレクトチャネル(企業と顧客が直接売買する販売形態のこと)では、ネット利用者の増加に伴いインターネット通販市場が急成長しており、今後も順調な拡大が期待される。
・カタログ通販はオフィス向けの顧客数は増加しているが、家族向けはネット通販へシフトしていることから減少していくとみられる。
・自動販売機は消費者の節約指向を背景に、縮小が続くと見られる。
○注目市場
◎SM
2014年、14兆1850億円。2015年見込、14兆2920億円。2014年比、100.8%
「まいばすけっと」を筆頭に、都市型小型SMの出店が加速、拡大している。2015年も前年に引き続き店舗数の増加や惣菜などの好調により微増が見込まれる。
◎CVS
2014年、6兆3545億円。2015年見込、6兆5970億円。2014年比、103.8%
利用者のニーズに変化がみられ、自宅から近いコンビニで買い物を済ませる高齢者や主婦などユーザーが広がっていることから、各社とも幅広い年代をターゲットとしている。
2014年はセブンイレブンを筆頭にカウンターコーヒーが好調だったほか、各社プライベートブランドが伸び、上位企業の店舗数も増加したことで市場は拡大した。
2015年はカウンターまわりの商品強化としてドーナツの導入が主要チェーンで相次いでいる。他にも地域の指向に合わせた商品開発などが積極的に行われている。
◎ドラッグストア
2014年、1兆931億円。2015年見込、1兆1752億円。2014年比、107.5%
近年は日用品、弁当、惣菜など取扱い品目が増えていることも市場拡大の要因となっている。また調剤併設店舗を強化する動きもあり、健康訴求の食品で優位性を確立できるかどうか注目される。
◎新制度適用免税品店
2014年、15億円。2015年見込、174億円。2014年比、11.6倍
免税制度とは、外国人旅行者などの非居住者に対して特定の物品を一定の方法で販売する場合に消費税が免除される制度のこと。
2014年に同制度が改正され、電化製品やカバンなどの一般物品に限らず、食料品や化粧品といった消耗品も対象となったことで利用者が増え、免税店が増加している。それに伴い、これまではカバンやブランド品などを扱う店舗がメインだったが、改正後は土産物屋やドラッグストア、コンビニなども対象となり、市場が広まった。
2020年の東京五輪に向けて訪日外国人旅行者数の増加が予想されることから、市場拡大が期待される。
(関連記事)
・スイーツ市場1兆3377億円を富士経済が調査 (15.07.10)
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