宅配事業モデル再設計し強化 日本生協連2020年1月27日
日本生活協同組合連合会(日本生協連)は1月24日の新年記者会見で、全国の生協が「人生100年時代を支える生協に」なるために、宅配事業の再強化を打ち出した。
新年記者会見に臨む日本生協連の本田英一代表理事会長(中央)
嶋田裕之代表理事専務(左)、藤井喜継専務理事(右)
本田英一代表理事会長は「生協は、組合員が自らこうあってほしいと思う社会を実現するために、必要な事業・活動を自分たちの力を合わせて取り組むという組織」であり、「その事業や活動も当然時代とともに変化していく」と語った。
◆生協組合員数は10年連続して増加
全国の生協組合員数は10年連続して増加しており、2018年度は2924万人となり、前年より51万人増加(前年比101.8%)した。20年度には3000万人を超える見通しだ。
また、世帯加入率※は38.1%に達し、全国の世帯の約3分の1が地域生協に加入していることになる。都道府県別の世帯加入率50%超は、北海道、宮城県、福井県、兵庫県の4道県で、40%超は前年より1県増え、1府12県(青森、岩手、山形、茨城、群馬、千葉、京都、奈良、岡山、香川、愛媛、大分、宮崎)となっている。
(※)世帯加入率=組合員数÷住民基本台帳に基づく世帯数
◆消費増税後の落ち込みから持ち直した宅配事業 2019年度全国の生協の概況
全国の主要地域生協(対象生協数65)の2019年12月度の供給高(速報値)を見ると、総供給高は、2609億8600万円(前年比100.7%)となっている。その内訳は、店舗が822億6300万円(同98.1%)、宅配が1729億4000万円(同101.9%)、その他が57億8200万円(同100.9%)で、その構成比は、店舗31.5%、宅配66.3%、その他2.2%となっている。なお、宅配に占める「個配」の割合が高まってきており12月度は68.7%となっている。
また、2019年度の4月度から12月度までの累計を見ると、総供給高の前年比は99.4%となった。供給高が前年割れは初めてのケースだという。内訳について前年と比べると、店舗は98.1%、宅配は100.1%(うち個配は101.2%)、その他は101.1%となっている。消費税増税の前の9月度には供給高の前年比は、店舗が100.1%、宅配が104.7%と前年を上回っていたが、増税後の10月度の供給高は、店舗98.3%、宅配95.7%と落ち込んだ。その後も店舗の回復が遅れており12月度でも98.1%と低迷しているのに対し、宅配の回復は早く12月度には101.9%(うち個配は102.5%)となっている。
◆宅配事業の再強化など事業の重点課題
生協の宅配事業は、「宅配事業の発展とともに生協が発展してきた」という大事な事業であり、宅配事業の再強化を重点課題としている(嶋田裕之代表理事専務)。
このため日本生協連は1月21日に、事業改革やIoTの活用などといった生協の事業基盤についての戦略を起案するとともに、施策の推進を担う「次世代戦略企画室」を新設した。高齢化、共働きの拡大、買い物困難地域の増加など生活インフラとしての宅配はますます重要になる。このため、多様な世帯に対応する事業モデルを再設計し、「くらし・地域を支える宅配」をめざすという。
また、「人生100年時代を支える生協」になるために、「宅配事業の再強化」以外にも「事業基盤づくり」に関して次の取り組みを行うとした。▽「商品」については、生協の魅力となるコープ商品と産直を強化する。▽「店舗」では、地域を支え続ける黒字経営の店舗事業を確立する。▽「高齢者対応事業」では、高齢者層のくらしに寄り添う事業へ改善する。▽「ICT」(情報通信技術)の活用については、事業の革新を加速するICTの体制づくりと実践を行う。それらを支える「人づくり」についても重視しており、▽「組合員参加」に関しては、より多くの組合員が関わりを持ち、参加できる運営のあり方づくり、▽「働く仲間」という職場づくりの視点からは、やりがいと希望を持って働き続けられる職場づくり──に取り組むとした。
◆コープ商品60周年
今年は、1960年にコープ商品第一号の「CO・OP生協バター」が誕生してから60年になる。安全・安心、環境配慮、産直など様々なコープ商品は、消費者である組合員の願いをもとに作られ、開発当時は"特別"だったものが、時代を経て世の中の"あたりまえ"になっているものも数多くある。このため、今年春にはまず発売39周年の「CO・OPミックスキャロット」、43周年の化粧品「コープ基礎シリーズ」といったロングセラー商品をリニューアルしていくという。
◆生協の社会的取り組みについて
2011年6月の日本生協連通常総会で決定した「日本の生協の2020年ビジョン」は、「私たちは、人と人とがつながり、笑顔があふれ、信頼が広がる新しい社会の実現をめざします」と宣言し、全国の生協が力をあわせて取り組む3つの重点課題▽安心してくらせる地域社会づくりへの参加▽商品力の強化を通じた組合員のくらしと生協の経営への貢献▽生協の未来を担う人材の確保と育成──に取り組んできた。
次期ビジョン「日本の生協の2030年ビジョン つながる力で未来をつくる─CO・OP2030」(一次案)では、そのめざすものとして▽生涯にわたる心ゆたかなくらし▽安心して暮らし続けられる地域社会▽誰一人取り残さない、持続可能な世界・日本──を挙げ、それを実現するために▽組合員と生協で働く誰もが活き活きと輝く生協▽より多くの人々がつながる生協──というビジョンを描いている。また、2018年6月の「コープSDGs行動宣言」を踏まえたものとなっている。
新たなビジョンでは、日本の生協が「めざすもの」を、単に生協組合員だけを対象とするものとせず、より「地域社会」に関与していく姿勢を強めている。現在、その具体的な中身について各生協で検討している(藤井喜継専務理事)。同ビジョンは、今年6月に開催する日本生協連の通常総会で決定される。
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