持続可能なスマート農業の拡大へ 野菜加工事業に本格参入 三井不動産ワールドファーム2021年11月2日
日本の農業振興と近郊地域における雇用創出に向けて「持続可能なスマート農業事業」を展開する三井不動産ワールドファームは10月1日、茨城県筑西市でカット野菜の冷蔵加工工場の稼働を始めた。
新たに稼働した野菜冷蔵加工工場
同社は、農業を基点に都心と近郊地域の人々を繋ぐ新たな「都市づくり」をめざし、2020年6月から東京都心近郊地域での農業事業に本格的に参入。キャベツの生産に始まり、今年度から順次ホウレンソウ、小松菜、ブロッコリーなどの生産に取り組んでいる。
同社がめざす「持続可能なスマート農業事業」では、農作業を生産から加工まで一気通貫することによる業務の効率化、生産性向上が重要となる。そこで、ほ場で作業をした従業員がスムーズに加工作業に移行できるよう、筑西市内のほ場から約10キロ圏内で加工工場の建設ができる土地を探して準備を進め、このほど冷蔵加工工場を本格稼働した。
新工場は、キャベツなら最大で1日10トンを加工生産できるようになり、30ヘクタール以上のほ場から収穫できるキャベツの全量の加工が可能。日本で開発された食品安全規格であるJFS-Bの規格認証を取得を予定しており、生産から加工まで安心・安全の加工野菜を届けられる体制を整える。
10月の時点で、茨城県筑西市と栃木県宇都宮市、栃木県芳賀町で計約20ヘクタールのほ場を運営しており、今後は新工場の稼働によりほ場の拡大に弾みをつけ、後継者不足で増加する耕作放棄地問題にも取り組んでいく。
同社は、三井不動産ベンチャー共創事業部所管の子会社で、親会社である三井不動産の新規事業としてスタート。同部門が所管するCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の出資先スタートアップ等の技術を活用することで、効率的な営農管理と、これまで積み上げてきた生産・加工のノウハウの見える化を通して「持続可能なスマート農業」の事業規模拡大をめざしている。
また、ほ場がある栃木県宇都宮市や芳賀町、茨城県筑西市は、東京都心から100キロメートル圏内。アクセスが良い点を生かし、本格的な農業従事者だけでなく気軽に農業に参画する農業関連人口を増やすため、工場内にリモートワークができるワークスペースを併設した。ワーク・ライフ・バランスを意識した多様な働き方に対応し、日本の若い担い手の確保や就農雇用の創出もめざす。
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