農作物の生育に配慮「次世代営農型太陽光発電」実証事業開始 出光興産2023年6月22日
出光興産は6月、農業と再生可能エネルギー発電を両立する次世代営農型太陽光発電の実証を千葉県木更津市のほ場(水田)で開始した。
実証圃場に設置した太陽光発電設備。4月上旬の田植え前の実証圃場(左)と田植え後の実証圃場(6月中旬)
実証では、太陽光を自動追尾して可動する架台(太陽光追尾型架台)と両面受光型の太陽光パネル(両面モジュール)を導入。
太陽光追尾型架台が太陽の動きに合わせて自動的に両面モジュールの向きを調整することで、農作期にはパネル下で栽培する農作物への太陽光照射を優先し、農作物の収量と品質の維持・向上を図る。
農作物の生育に配慮した発電の実現により、従来の営農型発電に比べ、「営農」と「発電」の両立をより追求した事業モデル構築を目指す。なお、発電した電力は、同社100%子会社の小売電気事業者である出光グリーンパワーを通じ、一般消費者に販売する。
国の第6次エネルギー基本計画(2021年10月)は、国内の電源構成における太陽光発電の比率を2019年度の6.7%から2030年度には14~16%(103.5~117.6GW)に引き上げる目標を掲げている。これを達成するには太陽光発電設備の増設が必須となるが、大規模な設備を新設する適地はすでに不足しつつある。そこで太陽光発電設備の新たな適地として、全国で約430万haの面積を占める農地が期待されている。
一方、従来式の固定型架台を使った発電設備では、パネルによる太陽光の遮蔽が多くの日照量を必要とする作物の生育に影響を及ぼすことから、稲作地等の農地には活用しにくいという課題がある。今回の実証では、太陽光追尾型架台および両面モジュールを用いることで、イネの生育期(4~8月)には太陽光を地表(イネ)に優先的に照射し、生育期以外は太陽光パネルに優先的に照射。これにより、太陽光発電を行いながら稲作に適した環境条件の制御・最適化が可能となる。
なお、発電設備下部で栽培されたイネについては、収穫したコメの収量や品質評価を行い、全農地面積の50%以上を占める稲作地を太陽光発電の適地として有効活用する可能性を確認する。両面モジュールは裏面も受光可能であることから、農作期に農作物への照射を優先した際の逸失発電量は、通年で補う。
太陽光パネルの可動イメージ
同社は実証を通じ、太陽光追尾型架台を使用した発電の性能・費用対効果、および営農型太陽光発電としての事業性等を確認。また、発電所建設から運用までの知見の取得と発電設備の下部における作物にとっての環境条件の制御・最適化手法を確立し、数年以内を目途に規模を拡大して営農型太陽光発電の事業展開を目指す。また、営農型太陽光発電には地域の農業法人または、農家が既存の農業を継続しながら、発電所設置による収益を期待できる利点もある。
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