流通:利益の取れる青果売場の現在!
[パクチー(香菜、コリアンダー)] 独特の個性で新たな需要を開拓(上)2016年8月22日
◆売場に並ぶとすぐに売切れ
最近、売場に並ぶとすぐになくなる商品がある。それが今回のテーマである「パクチー」だ。飲食店などの業務用といった限定的な用途に限らず、住宅地に立地する店でもパクチーは人気商品になっている。5年前には、ほとんどの店舗で並ぶことすらなかったパクチーがどのように市場を創造し、切り込みをかけてきたのか分析する。
パクチーはタイ語で、中国語では香菜(シャンツァイ)、英語ではコリアンダーと呼ばれている。店頭では様々な表記がされるが、どれも同じ商品である。
特徴は、独特の強い香りである。水耕栽培と露地栽培があり、基本的には周年栽培が可能であるが、露地栽培の旬は春から夏にかけてとなる。
◆SNSで話題 女性が支持
パクチー自体の市場規模を確認できるデータはないが、総務省の家計調査年報(2015年)「その他葉茎菜」を見てみると、1世帯当たり年間に6930円となっている。11~15年の推移を見ても増加傾向にあり、特にこの1年間は400円弱と大きく伸びている。全てではないものの、パクチーがそのけん引役としての役割を果たしていると言えよう。
パクチーが注目されるようになったきっかけは、積極的に扱う飲食店の増加である。14年頃からパクチー専門店がマスコミに取り上げられ、「パクチニスト」、「パクチー女子」なる言葉が生まれ、女性を中心に支持が拡大していった。関連して、パクチーを使ったインスタント食品がSNS(ソーシャルネットワーキングサービス:インターネット上の交流サービス)上でたびたび話題となる。大手食品メーカーが開発したパクチーを使ったドレッシングは大ヒットし、量販店でも定番商品として取り扱いが増えている。
それまでスポット商品として不定期での取扱いはあった青果売場でも、一部店舗が15年頃から定番商品とし始めると、急激に扱いが拡大していった。販売方法も陳列ケースの上段への品揃え的な陳列から、下段や平台、突き出し陳列などお客様の眼が止まりやすい場所へ移動するにつれ、大きな反応が得られるようになった。これは、来店するお客様の購入割合の上昇を示している。つまり、一部のこだわりの強い層だけではなく、それ以上のお客様の支持を集めている証と言える。
スポット商品の際には必要であった価格訴求も、定番となった現在では200~300円前後で販売され、さほど値崩れが起きていない。販売するお店側もまた、安定的に利益が確保できるため、数量確保のための仕入れに躍起となっている(市場では取り合いになっているという)。
(写真)パクチー
(図表)総務省「家計調査年報」1)年別、グラフ
・[パクチー(香菜、コリアンダー)] 独特の個性で新たな需要を開拓 (上) (下)
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