流通:利益の取れる青果売場の現在!
[パクチー(香菜、コリアンダー)] 独特の個性で新たな需要を開拓(下)2016年8月22日
◆個性が「クセ」に 興味を掻き立てる
青果に限らず、食品におけるこのようなマスコミやネット上での需要喚起は一過性のブームに留まりやすく、長続きしないことも多い。パクチーもそのリスクはまだ残り、今後の販売動向を注目する必要がある。
しかし、パクチーの需要喚起はこれまでの野菜のそれとは異なり、一定のマーケットを構築するのではないかと筆者は考えている。なぜなら、パクチーは好き嫌いがはっきりと分かれる商品にもかかわらず、需要を確保するだけでなく拡大へと導いているからだ。
食品スーパーでは数多くの新商品が雨後の竹の子のごとく販売されるが、そのほとんどが既存商品の代替品として購入される。これを「カニバリゼーション(共食い)」という。どんなに素晴らしい商品であっても、トータルでの売上を落としてしまうのであれば、魅力は薄れてしまう。新たな用途や需要を開拓し、売上増加に直結する商品が小売側が求める商品の要素なのである。
その点、パクチーは独特の個性を持ち合わせ、他の商品購入を減らさず売上増加に貢献している商品なのだ。パクチー自体の個性が「クセ」となって、お客様の興味・関心を掻き立てている。これが、マスコミやネット上の話題と重なって、お客様の支持を集めている点が人気の要因と分析している。
◆新たな観点で食の提案をする
さらに、需要の見極め方にもポイントがある。誰からも好まれる商品は一見チャンスが大きそうだが、実際には無難な商品に映り、競合品が多く、そのほとんどが埋もれてしまう。敢えてリスクを取って、好き嫌いがはっきりしている商品に注力すると限られたターゲットにピンポイントで伝わりやすくなる。ターゲットから良い反応が得られれば、水面に石を投げて波紋が広がるようにマーケットが拡大し、熱狂的なファンへと進化する過程で市場もまた拡がっていくのだ。パクチーはこの点においても、スーパーに新たな需要のきっかけを生み出したと考えられる。
食文化のグローバル化は進展している。既存の固定概念に囚われず、新たな観点で食の提案を心がけていく点を生産者側も見逃さないでほしい。
最後に、パクチーは一般的に、エスニックや中華系の料理をメインとして、サラダやスープ、麺類・肉料理・魚料理の付け合せとして利用されるが、和食にも転用しやすい。売場の配置・構成次第でも更なる需要拡大は狙えそうだ。今後は、ハーブやエスニック野菜のコーナーだけでなく、例えばホワイトセロリや春菊、糸三つ葉と組み合わせて、サラダや料理の付け合せ材料として出番の増加が考えられる。生産者側も、用途の拡大を意識して情報の発信やパッケージの見直しを進めたいところだ。
≪今回のまとめ≫
パクチー需要拡大の要因
(1)マスコミ・ネット上の紹介がきっかけ
(2)好き嫌いは激しいが、個性的な「クセ」が興味・関心を掻き立てている
(3)小売業の中でも新たなマーケット創造につながっており、利益商品として成長している
・[パクチー(香菜、コリアンダー)] 独特の個性で新たな需要を開拓 (上) (下)
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