小規模で高度なバイオエタノール製造技術2013年10月31日
農研機構は、簡単で環境にやさしい小規模バイオエタノール製造技術「CaCCO(かっこ)プロセス」を開発した。10月25日付の『Jounal of Applied Glycoscience』(日本応用糖質学会)に掲載された。
これまでバイオエタノールをつくる方法は、濃硫酸を使ったり、希硫酸で200℃を越える高温処理をするなど過酷な条件で、また、大規模な設備を要するものが多かった。
それに対し、今回開発した「CaCCOプロセス」は、水酸カルシウムと水と原料を混ぜて100℃ほどの前処理をするだけで、高濃度の糖液をつくるもので、簡単で環境にもやさしい技術だ。
試験では、稲ワラから16.9%(w/v)、イネ科のエリアンサスから15.5%(w/v)の高濃度糖液を得られた。糖液濃度が高ければ、エタノール濃度も高くできるので、蒸留の際のコストやエネルギーを削減できる。廃液の量も減るため、処理費用も削減できる。
また、湿式粉砕技術を使えば、濡れた稲ワラなど水分の多い原料でもそのまま使うことができる。さらに、さまざまな作物の茎葉部、でん粉やショ糖などを含む食品残さからもバイオエタノールが精製できる。
「CaCCOプロセス」小規模な装置でエタノールを製造できるのが大きな特徴であり、従来のバイオエタノール生産のように、スケールメリットを追求する必要がなく、地域の多様な資源を利用して、バイオエタノールを製造することができる。
農研機構では、「小規模製造を念頭においたバイオエタノールの製造技術は世界的にもきわめてユニーク。地域における環境負荷低減、新産業創出をすすめるための、世界をリードする技術になる」と期待している。

(図は「CaCCOプロセス」を使ったバイオエタノールの製造工程)
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