土壌の豊かさ競う 初の世界土壌微生物オリンピック開催へ2015年9月4日
第1回世界土壌微生物オリンピック実行委員会は、9月3日、「第1回世界土壌微生物オリンピック」を開くことを公表した。合わせて、今回、土の豊かさを図るための研究である「土壌の生物性を指標とした土壌分析について」の講演を行った。
同オリンピックでは、土壌微生物の性質を数値化した分析結果と、豊かな土作りへの取り組みを競う。応募者は自慢の土をサンプルとして提出する。参加概要は下部の通り。
◆1gに1兆個の生命がいる土
3日の記者発表会で同実行委員会副委員長の横山和成氏は、同オリンピックの審査基準となる土壌微生物を数値化する研究について話した。
特殊な染色剤を混ぜるなどして土壌微生物を可視化できる状態にした画面(=写真右)を示し、「この一つ一つが微生物。1g(の土)に1兆個の生命がいる」と語った。また、堆肥や腐葉土を用いた日本の農法には土を豊かにする手法が蓄積されている。この分析方法ではそれを可視化できるようにした、と話した。また、微生物の数だけでなく性質も数値化することで、土壌の豊かさを示すことができる。
その方法に利用したのが、バイオログ細菌簡易固定キット。キットには計96個のウェル(へこみ)が並んでおり、有機物が塗られている。
分析対象の土壌微生物を入れ、一定時間おくと、その微生物が分解できる有機物ならウェルが赤く着色する。生物的に貧しい土ではこの赤い着色が少なく、生物的に豊かな土では多い(=写真左)。また土壌微生物の豊かな土は、食物の根の張り方で、明確な差としてあらわれている(=写真右)。
生物的に貧しい土に有機物を人工的に投入すると、土壌微生物の多様性が回復し収量が増加すること等が分かっている。
横山氏は、今年開かれているミラノ万博(イタリア)に出席し、日本館のテーマ「共存する多様性」のもと、同研究の発表を行った。
先進国では土が壊れている地域が多いが、日本は土壌微生物の活動により、土の豊かさが失われていない。「(日本は)もっと土に自信を持ち、世界へ発信すべき」と話した。
◆土を数値化し、価値がつく時代
同実行委員会委員長の田邊敏憲氏は同オリンピックの家庭菜園部門について、都会に住んでいる人や、ベランダで野菜を育てている家族など、多くの人に参加してほしいと語った。
また、今回の土壌分析について、▽日本がこれまで堆肥などで行ってきた有機肥料の歴史を可視化することで、日本の農法や地方創生の決定的な軸になる、▽2025年、世界で食料供給困難に陥る見通しについて、今回の研究である微生物の多様性は回避する方法の一つとなる、▽全国400の農業高校と提携し、彼らが関わっている農業を表現するツールとしても利用したい、と話した。
参加者が支払うエントリー料金は、土の価値を会計的表現で表す取り組みなどに使われ、情報やサービスを通じて参加者に還元していく考え。
同記者発表を訪れていたスポンサー希望者は、「(数値化などを行うことで)土の価値が変わることに、驚いた。どれだけの価値があるのか(分かれば)、投資していくこともできる。PL(損益計算書)などでの土の見せ方や会計的表現への取り組み」に関して興味を見せていた。
(写真)記者発表の会場
【オリンピック参加者概要】
◎対象:農業に従事する人。また自慢の土づくりを全国へ発信したい人。最新技術による土づくりの成果を確認したい人。家庭菜園やメーカー圃場も可。入賞した場合は東京ビックサイトの表彰式へ参加すること。
◎エントリー期間:5月12日~11月5日
◎分析費:無料
◎エントリー料金:1万円
◎エントリーに使う土壌サンプル:エントリーする本人が土づくりを行う土壌で、元肥より4週間以上後かつ、追肥前のもの。(サンプリング期間は6~11月を予定)審査は、分析結果と土づくりへの取り組みを評価する。
※ドーピングが行われたと判断された応募に関しては棄権扱いにするなどの対応を予定。
◎募集部門:水田・稲作・果樹・施設園芸・家庭菜園の5部門。該当する部門へ応募。
◎表彰式:2015年12月予定
【オリンピック式典出席者概要】
◎エントリー受付期間:5月12日~12月10日
◎当日資料代:1000円
【オリンピック第1次スポンサー募集概要】
◎エントリー対象:同オリンピックの目的に賛同するスポンサー。
◎期間:5月12日~12月10日
◎詳細:スポンサー参加詳細は第1回世界土壌微生物オリンピック実行委員会事務局に別途問い合わせ。
<問い合わせ先>
尚美学園大学SRI準備室
電話:049-246-7394
メール:shinto_2015@soilolympic.com
ホームページ:http://www.soilolympic.com
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