世界の穀物収量の最新予測 気候変動の影響で従来の想定より悪化2021年11月4日
国立環境研究所と農研機構などが参加した8か国20の研究機関からなる国際研究チームは、将来の気候変動が世界の穀物収量に及ぼす影響について最新の予測を公表。気候変動が進行した場合、今世紀末の2069~2099年の世界の平均収量は、現在(1983-2013 年)に比べて、トウモロコシでは24%減少する一方、コムギでは18%増加する結果だった。
今世紀末の気候変動による主要穀物の世界平均収量への影響
国際研究チームは、IPCCによる第5次評価報告書(第2作業部会報告書)において2014年に行われた前回の予測以来7 年ぶりの調査。今回の予測には、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の気候変動予測と12の収量モデルが用いられた。
世界の穀物収量に対する気候変動の影響は、前回の予測と比較して、影響の大きさが拡大。トウモロコシ、ダイズ、コメの収量の大幅な悪化が予測された。気候変動が進行するシナリオ(SSP585)の場合、今世紀末(2069~2099年)のトウモロコシの世界の平均収量は前回の予測では1%増加だったが、今回は24%低下(対現在1983~2013 年)の予測結果に転じた。
ダイズについては15%増加(前回)から2%低下(今回)、コメは23%増加(前回)から2%増加との結果だった。一方、将来のコムギ収量は前回の予測より大きな増加を示し、前回の9%増加から今回では18%増加との予測結果だった。
収量の低下と増加のいずれも、気候変動による収量変化が収量の年々変動より大きくなる時期は、前回の予測時期よりも早くなると予測。主要生産地域が多い中緯度地域の場合、コムギでは2020 年代後半から、トウモロコシでは2030 年代後半、コメでは2090 年代からこうした気候変動による収量変化が顕在化すると予測された。
中緯度地域のダイズについては、今世紀中には顕在化しないとの予測結果。気候変動影響が顕在化すると前回予測された時期はコムギでは2030年代前半、トウモロコシとコメでは2090年代以降で、今回の予測では前回の予測より時期が10年以上早まった。
気候変動による穀物生産への悪影響に対応することが困難にならないように、気候変動への適応と、気候変動の進行を遅らせるために温室効果ガスの排出削減等を進めることをこれまでの想定よりも早く進めることが必要。
同研究では、気候変動の影響に焦点を当てるため、栽培地域の分布や栽培技術は将来も現在と同じと仮定。今後、国際研究チームでは、気候変動により予測される影響をどの程度まで軽減させることができるか、開発途上国での既存の増収技術の普及や播種期の移動などの対策技術を導入した場合の効果について評価を今後進めていく。
同研究成果は、11月2日付で国際学術誌「Nature Food」に掲載された。
今世紀末までの気候変動による中緯度地域の平均収量への影響
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