ミナミアオカメムシが新発生 県南地域の大豆ほ場で確認 栃木県2021年12月9日
栃木県農業環境指導センターは、ミナミアオカメムシNezaraviridula(Linnaeus)を同県では初めて、県南地域の大豆ほ場で確認。これを受け、12月6日に病害虫発生予察特殊報第3号を発令した。
大豆葉に寄生するミナミアオカメムシの成虫(写真提供:栃木県農業環境指導センター)
11月に県南地域の2つの大豆ほ場で、ミナミアオカメムシと疑われるカメムシ幼虫と成虫が確認され、栃木県農業環境指導センターで形態的特徴からミナミアオカメムシと同定した。
同種は、西日本を中心に分布が拡大しており、近年では関東地方でも発生を確認。2010年以降、千葉県、神奈川県、東京都、埼玉県、茨城県で特殊報が発表されているが、栃木県での発生確認は初となる。
被害の特徴としては、成幼虫ともに口針で植物の汁液を吸汁し、大豆では子実を吸汁。着莢数の減少、変形粒と変色粒の増加をもたらす。
成虫の体長は12~16ミリ。アオクサカメムシによく似ており、小楯板上端に3つの白い斑点があることは共通している。しかし、体がより縦長なこと、前胸背側角の突出が弱いこと、触角第3~5節の先半部が褐色(アオクサカメムシは黒色)であること、腹部背面が緑色(アオクサカメムシは基部2~4節が黒~黒褐色)であることなどで識別できる。成虫の体色は、アオクサカメムシと同様に多くの色彩変異がある。なお、4~5齢幼虫での識別は難しい。
同種は熱帯から温帯地方南部に広く分布し、国内では本州、四国、九州、南西諸島、小笠原諸島に分布。1~5齢幼虫を経過して成虫となり、国内では年3~4世代を経過する。成虫で越冬するが、最寒月の平均気温が5℃以下の地域では越冬できないとされている。
大豆子実を吸汁するミナミアオカメムシの幼虫(3齢)(写真提供:栃木県農業環境指導センター)
広食性で水稲、大豆、野菜類、果樹類等32科145種以上の植物を吸汁することが知られている。また、水稲では穂を吸汁し斑点米を生じさせるが、斑点米カメムシ類の中では大型で斑点米産生能力が高いことで知られている。
同センターでは次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇水稲、大豆、なすなどの果菜類、なしなどの果樹類等で被害が懸念されるため、同種を確認したほ場では、各作物においてカメムシ類に登録のある農薬で防除する。
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