宇宙農業の実現へ 月の模擬砂による植物栽培実験に成功 大林組・TOWING2022年2月8日
大林組とTOWINGは、宇宙農業の実現に向けて月の模擬砂と有機質肥料を用いた植物栽培を実証実験し、作物の栽培に成功した。
月の模擬砂から製造された多孔体
月面における有人活動の際は、水や食料などの物資が不可欠となり、初期には地球から輸送するが、長期的に継続して活動を行うには月面の資源を利用することや物資循環を行うことが必要となる。また、月面の人工光型植物工場のような施設で植物を栽培することで、地球からの輸送物資の大幅な削減と滞在期間中のQOL(生活の質)の向上を実現できるが、植物栽培のためのシステムをすべて地球から輸送する場合、輸送コストが障壁となると考えられる。
そこで、大林組とTOWINGは共同で、月の砂を植物栽培が可能な土壌とするための技術を開発。大林組は、月の砂をマイクロ波やレーザーを用いて建材化する技術開発をJAXAなどと実施しており、TOWINGは無機の多孔体を設計する技術を持つ。また、TOWINGは農研機構が開発した人工的に土壌化する技術を活用し、有機質肥料を用いた人工土壌栽培を可能にするノウハウも保有。今回の植物栽培実験ではそれらの知見を組み合わせて、月の模擬砂から多孔体を設計・製造し、それを土壌化してコマツナを栽培した。
宇宙での植物栽培に水耕栽培や養液栽培を用いると、化学肥料を地球から運ぶか、宇宙で製造する必要があるが、今回開発した技術は、有機物を肥料として利用。人間から排出される糞尿や食品残渣(ざんさ)などの有機性廃棄物を循環利用し、化学肥料の製造が不要になるため、高効率に植物生産できる。
月の模擬砂から製造した多孔体を用いたコマツナの栽培
土壌とする多孔体は月の模擬砂を、マイクロ波で加熱焼成して製造。その際、温度状況に偏りが生じて、植物栽培に適した多孔体の割合(回収率)が下がることがある。宇宙ではエネルギーが貴重な資源であるため、回収率を上げることが必要となるが、今回開発した技術では、均質に加熱できるため、製造物のほとんどのものが植物栽培に適したものとなる。
また、低重力で閉鎖された空間で人が生活するには食生活は重要な要素。今回開発した技術は、土壌由来の微生物を利用するなど土壌で育てる条件に近いため、根菜類や大きな作物などの栽培も可能。今後は、葉の硬さなど人の身体的な感性に訴える多様な食味の再現をめざす。
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全中(10月1日付)2025年9月12日
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年9月12日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政も思い切りやってほしかった 立憲民主党農林漁業再生本部顧問・篠原孝衆議院議員2025年9月12日
-
【石破首相退陣に思う】破られた新しい政治への期待 国民民主党 舟山康江参議院議員2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政でも「らしさ」出しきれず 衆議院農水委員会委員・やはた愛衆議院議員(れいわ新選組)2025年9月12日
-
ドローン映像解析とロボットトラクタで実証実験 労働時間削減と効率化を確認 JA帯広かわにし2025年9月12日
-
スマート農業の実践と課題を共有 音更町で研修会に150名参加2025年9月12日
-
【地域を診る】個性を生かした地域づくり 長野県栄村・高橋彦芳元村長の実践から学ぶ 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年9月12日
-
(452)「決定疲れ」の中での選択【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月12日
-
秋の味覚「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2025年9月12日
-
「令和7年台風第15号」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月12日
-
成長軌道の豆乳市場「豆乳の日」前に説明会を実施 日本豆乳協会2025年9月12日
-
スマート農園を社会実装「品川ソーシャルイノベーションアクセラレーター」に採択 OYASAI2025年9月12日
-
ご当地チューハイ「寶CRAFT」<大阪泉北レモン>新発売 宝酒造2025年9月12日
-
「卵フェスin池袋2025」食べ放題チケット最終販売開始 日本たまごかけごはん研究所2025年9月12日
-
「日本酒イベントカレンダー 2025年9月版」発表 日本酒造組合中央会2025年9月12日
-
北海道檜山特産品マルシェ「ひやマルシェ」開催2025年9月12日
-
農福連携 食品産業向け展示商談会「ノウフク見本市2025in大阪」開催2025年9月12日
-
次世代モデルの人工光型植物工場「福井美浜工場」竣工 椿本チエイン2025年9月12日