水稲品種「にじのきらめき」の暑さ対策"高温回避性"のメカニズム明らかに 農研機構2022年6月3日
農研機構が育成した水稲品種「にじのきらめき」は、普及地域での4年間にわたる調査の結果、高い玄米外観品質が得られることが実証された。また、「にじのきらめき」には、登熟期の高温条件下でも穂の温度が上がりにくい「高温回避性」のメカニズムを有することを明らかにした。
2019年の登熟期異常高温年における「コシヒカリ」(左)と
「にじのきらめき」の玄米(上越研究拠点のほ場で収穫)
近年、温暖化に伴う登熟期の高温による玄米の外観品質低下が問題となっている。日本でもっとも多く栽培されている「コシヒカリ」では、玄米の外観品質に大きな影響を及ぼす出穂後20日間の日平均気温が27℃以上になると白未熟粒の発生が増加。整粒歩合が顕著に低下するため、近年の温暖化の中では、一等米の目安である整粒歩合70%程度の確保が難しい状況にある。
こうした中、農研機構で育成した水稲品種「にじのきらめき」は、高温でも外観品質が低下しにくい高温登熟性に優れた品種として普及しているが、どの程度高温に対して強いのか、その高温登熟性がどのようなメカニズムで強化されたかは全く分かっていなかった。
そこで、同品種の普及地域である新潟県・群馬県・岐阜県の公的研究機関および生産者の協力を得て、4年間にわたり気温と「にじのきらめき」の整粒歩合について調査。その結果、出穂後20日間の日平均気温が28℃の高温でも、一等米の目安である整粒歩合70%程度を維持できることが明らかとなり、優れた高温登熟性を備えていることを実証した。また、高温条件下でも穂の温度が上がりにくい「高温回避性」が存在することを世界で初めて明らかにした。

「高温回避性」は穂が葉の中に隠れていることで、①穂への日射量が少なくなること、②穂周囲の葉の蒸散による冷却効果を受けやすくなること、が要因であると考えられる。これにより、「にじのきらめき」は暑い中でも玄米の外観品質が低下しにくいと推察される。
同研究の成果は、高温登熟性を持つ水稲品種の栽培と育種戦略の両面に貴重な基盤的情報を与えるとともに、深刻化する地球温暖化の中での玄米外観品質の高位安定化につながる。
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