キャベツの芯から新素材 廃棄部位利用で3Dプリント食品の表現力を拡大 農研機構2022年8月30日
農研機構は、乾燥・粉砕して粒の大きさを調整したキャベツの芯を用いることで、歯ごたえのあるペースト状食品を造形できることを発見。3Dフードプリンタで造形可能な条件を確認した。廃棄部位となるキャベツの芯の栄養・機能性成分を摂取できるだけでなく、その硬さを新たな食感表現の手段として活用することで、カット野菜製造時などに生じるフードロスの削減が期待できる。
キャベツおよびキャベツの芯。キャベツの玉を半分に割ったもの(左)と玉から切除・回収したキャベツの芯
キャベツの芯は、キャベツ一玉の生重量の15%程度を占めるが、可食部である葉と比べて硬いため、多くの場合加工段階で切り離されて廃棄されている。日本食品標準成分表2020年版(八訂)でも、キャベツの芯は廃棄部位として位置づけられている。一方、食物繊維に加え、ビタミンCなどの栄養やクロロゲン酸などの機能性成分が含まれるキャベツの芯を廃棄することは、フードロスともみなされている。
これまで、腐りやすいキャベツ芯は、その栄養や機能性成分を保持したまま利用するため乾燥微粉末に加工されて、様々な料理に添加されてきたが、微粉末化すると生鮮食品の食感が消失し用途が限定されることが課題となっていた。
そこで同研究では、次世代食品加工技術として注目される3Dプリント食品の製造をめざし、キャベツの芯の需要拡大に向けた新たな利用方法を開発。最初に、キャベツ芯から粒径1ミリメートル未満の乾燥粗粉末を調製し、吸水後の潰れやすさを調べたところ、芯の硬さを活かした新素材となることを見出した。
この粗粉末をペースト化してシリンジの先端(ノズル内径8ミリメートル)から押し出すことで、粗い表面をもつ棒状の成形物が得られた。さらに、キャベツ葉由来の微粉末などの軟らかい素材との混合や加水量調整により、3Dフードプリンタで採用されている内径2ミリメートルのノズルを用いても、途中で切れることなく押出成形が可能であることがわかった。
従来の野菜の微粉末を原料とする3Dプリント食品は、いずれも柔らかいペースト状になりやすく、造形する食品の食感表現の幅が狭くなるという課題があった。カット野菜製造時に発生するキャベツの芯やブロッコリーの茎など硬すぎて廃棄されてきた食材の粉砕条件を制御することで、3Dプリント食品等の次世代食品に対してAE咀嚼EそしゃくA感などの豊かな食感を付与することが可能になると期待される。
今後、この粗粉末を用いた次世代食品加工の幅を拡げつつ、カット野菜製造企業等と連携することでこの新素材の実用化を加速する予定。
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