機能化が可能なシルク 実用化に向けた生産技術を確立 農研機構2022年11月18日
農研機構は、遺伝子組換えカイコを用いて、望みの機能分子をクリックケミストリーで簡単につなげられる「結合の手」を組み込んだシルクの実用化に向けた生産技術を確立した。
「結合の手」を持つシルクの織物
農研機構は、様々な分野・用途へのシルクの利用拡大をめざし、新しい機能をもったシルク素材の開発研究に取り組んでいる。今回、遺伝子組換えカイコを用いて、機能分子を簡単につなげられる「結合の手」をもつシルクの実用化に向けた生産技術を確立。「結合の手」は、アジド基という原子団(官能基)で、2022年ノーベル化学賞を受賞したクリックケミストリーで中心的な役割を果たしている。クリックケミストリーの手法をシルクに適用することで、色素や薬剤などの様々な機能分子をつなげた高機能シルク素材を誰でも簡単に作出できるようになった。
2014年に、カイコの遺伝子組換え技術を用いて、アジド基をもつ人工アミノ酸を組み込んだシルクを世界で初めて開発し、2018年には人工アミノ酸のシルクへの組み込み効率を当初の約30倍に高めることに成功。実用生産への道が開けたが、遺伝子組換えカイコは小型の実験用品種を元に作出されたためシルクの生産量が少なく、シルク自体も大量生産に必要な機械加工に適した品質ではなかった。
そこで今回、戻し交配と呼ばれる育種法を用いて系統を改良し、カイコ1頭あたりのシルク生産量が約3倍に向上。その結果、改良前よりも太く長い良質なシルクが得られるようになり、汎用的な機械を用いて織物にまで加工することが可能となった。また、機能分子の結合テストにより、加工後も「結合の手」が保持されていることを確認した。
同成果により、血糖値等の生体情報を計測する機能をもつシルク繊維や、抗生物質等の薬剤を付加した医療用シルク素材の開発に向けた取り組みが加速される。
この成果は、11月24~25日に茨城県つくば市で開かれる「第69 回日本シルク学会研究発表会」で発表される。
重要な記事
最新の記事
-
プロの農業サービス事業者の育成を 農サ協が設立式典2025年10月21日
-
集落営農「くまけん」逝く 農協協会副会長・熊谷健一氏を偲んで2025年10月21日
-
【サステナ防除のすすめ】水稲除草剤 草種、生態を見極め防除を(1)2025年10月21日
-
【サステナ防除のすすめ】水稲除草剤 草種、生態を見極め防除を(2)2025年10月21日
-
随契米放出は「苦渋の決断」 新米収穫増 生産者に「ただ感謝」 小泉農相退任会見2025年10月21日
-
コメ先物市場で10枚を売りヘッジしたコメ生産者【熊野孝文・米マーケット情報】2025年10月21日
-
【JA組織基盤強化フォーラム】②よろず相談で頼れるJAを発信 JA秋田やまもと2025年10月21日
-
【中酪ナチュラルチーズコンテスト】出場過去最多、最優秀に滋賀・山田牧場2025年10月21日
-
11月29日はノウフクの日「もっともっとノウフク2025」全国で農福連携イベント開催 農水省2025年10月21日
-
東京と大阪で"多収米"セミナー&交流会「業務用米推進プロジェクト」 グレイン・エス・ピー2025年10月21日
-
福井のお米「いちほまれ」など約80商品 11月末まで送料負担なし JAタウン2025年10月21日
-
上品な香りの福島県産シャインマスカット 100箱限定で販売 JAタウン2025年10月21日
-
「土のあるところ」都市農業シンポジウム 府中市で開催 JAマインズ2025年10月21日
-
コンセプト農機、コンセプトフォイリングセイルボートが「Red Dot Design Award 2025」を受賞 ヤンマー2025年10月21日
-
地域と未来をさつまいもでつなぐフェス「imo mamo FES 2025」福岡で開催2025年10月21日
-
茨城大学、HYKと産学連携 干し芋残渣で「米粉のまどれーぬ」共同開発 クラダシ2025年10月21日
-
まるまるひがしにほん 福井県「まるごと!敦賀若狭フェア」開催 さいたま市2025年10月21日
-
北〜東日本は暖冬傾向 西日本は平年並の寒さ「秋冬の小売需要傾向」ウェザーニューズ2025年10月21日
-
平田牧場の豚肉に丹精国鶏を加え肉感アップ 冷凍餃子がリニューアル 生活クラブ2025年10月21日
-
誰もが「つながり」持てる地域へ 新潟市でひきこもり理解広める全国キャラバン実施2025年10月21日