湿害に強いダイズ「一工程浅耕播種法」開発 減収軽減と高能率播種作業で単収増へ 農研機構2023年3月15日
農研機構は、降雨後でも速やかな播種が可能で、播種後の降雨による湿害にも有効な逆転ロータリを用いたダイズの一工程浅耕播種法を開発した。播種時にサイドディスクで畝両側に排水用の溝を作りながら浅耕播種をすることで、逆転ロータリとしては高速な時速3km/h 以上の播種作業を、ムギ類(コムギ・オオムギ含む)収穫後に一工程で行える。同技術は、ダイズの減収をもたらす豪雨などの降水リスク軽減と高能率播種作業を両立する。
逆転ロータリの普通耕播種法(左)と、
今回開発した一工程浅耕播種法(右)による播種風景および播種作業時の概略図
近年ダイズの主産地である九州北部では、生育期間の豪雨による湿害によりダイズの単収が大幅に減少する事例が増加傾向にあり、湿害に強い栽培技術の開発が喫緊の課題となっている。また、農業人口の減少や高齢化が進んでおり一経営体当たりの耕作面積が増加していることから、高能率かつ省力的な栽培技術も求められている。
これまで、省力的な湿害対策として逆転ロータリでムギ類収穫後の耕起と畝立て播種を一工程で行う、耕うん同時畝立て播種法が開発されてきたが、生産現場では播種速度が遅いことが問題となっていた。また、播種速度の向上を目的に浅耕にすると、播種部分の土壌が不足する問題があった。
こうした問題に対し、逆転ロータリの前方に大型のサイドディスクを取り付け、畝の両側に排水用の溝を掘り、掘り上げた土壌を播種部分へ供給して浅耕播種を実施し、豪雨などによる湿害を軽減しながら安定した高速作業を実施する播種方法を開発した(図1)。
生育期間中の降水量が多く、湿害が発生した2019年から2021年の3年間、福岡県の現地ほ場で生産者による慣行栽培と比較試験を行ったところ、慣行栽培比で作業速度が平均31%向上することにより10アール当たり作業時間が13%短縮。単収は52%増加した。
今回開発した播種技術は、深刻化する豪雨などの降水リスクに対応可能な湿害対策としてダイズの安定生産に貢献する。また、一工程での高速播種による効率化は、ダイズ栽培
面積の拡大に繋がることが期待される。
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