【特殊報】ビワに「ビワキジラミ」県内で初めて確認 高知県2023年5月25日
高知県病害虫防除所は、ビワにビワキジラミの発生を県内で初めて確認。これを受けて、5月25日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
白いろう物質が付着した果実とすす被害(写真提供:高知県病害虫防除所)
4月に安芸郡東洋町北東部の民家に植栽されたビワの果実や葉にすす症状が発生。これらの果実および葉にはキジラミ類と思われる成幼虫が寄生していた。採集した成虫を農林水産省神戸植物防疫所に同定依頼したところ、高知県ではこれまで未確認のビワキジラミと確認された。
これを受け、4月下旬~5月中旬にかけて県内7市4町のビワ樹およびビワ栽培園において黄色粘着トラップによる発生状況調査を実施。その結果、発生確認樹の近隣のビワ樹で捕殺が見られたが、その他の地域では発生は確認されなかった。
国内では2012年に徳島県で初めて発生が確認され、その後、四国では香川県と愛媛県で確認。その他の地域では兵庫県、和歌山県、岡山県、大阪府、京都府で発生の報告がある。
成虫の体長は2.5~3.5ミリ程度、2対の翅があり小さなセミのように見える。体は黄褐色~暗褐色で、白色の線状やまだら状の多数の斑紋がある。前翅は透明で、外縁に沿って黄褐色の不明瞭な小斑紋が4~5つ並んでいる。幼虫は全長2ミリ程度、扁平な楕円形で体に褐色のまだら模様があり、体の左右に褐色の翅芽翅のもとが飛び出ている。
成虫(写真提供:高知県病害虫防除所)
幼虫(写真提供:高知県病害虫防除所)
同種はアブラムシやカイガラムシ、コナジラミなどに近いカメムシ目の昆虫で、寄生・増殖できる植物はビワのみ。ビワ樹上で年間5回程度世代交代を繰り返すとみられ、春先に花や幼果、新芽で増殖し、ビワ果実が肥大・成熟する5~6月頃に多発生する。盛夏期には樹内部で休眠状態となり、枝先の葉上にはほとんど見られなくなる。ビワの花蕾形成が始まる9月以降に活動を再開し、枝先に集まって交尾し花蕾に産卵。冬期もビワ樹上で休眠することなく越冬する。
葉裏の主脈に沿って成虫が寄生する(写真提供:高知県県病害虫防除所)
幼虫・成虫ともにビワの樹液を吸汁する。特に幼虫は吸汁後に甘露を排出し、これが付着した葉や果実は糸状菌カビが発生し、すす病となり黒く汚損される。また、幼虫が甘露の他に排泄する白い綿状のワックスろう物質の付着も見られる。被害は、果実が肥大・成熟する5~6月頃に顕著で、被害が激しい場合は果実が肥大できずに腐敗・落下することもある。なお、果実の袋かけが行われる3月時点で既に花房や幼果の隙間に寄生している場合、袋かけだけで被害を防ぐことはできない。
黄色粘着トラップに捕殺された成虫
前翅の外縁に沿って黄褐色の小斑紋が並ぶ(写真提供:高知県病害虫防除所)
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇樹を観察し、3月以降の果実や新梢のすす病や白い排泄物の付着、4~6月の葉裏の成虫の寄生写真2、4)を目印に、早期発見に努める。成虫は黄色に誘引されるため、侵入が警戒される地域では黄色粘着トラップによるモニタリングが有効。
〇薬剤防除は、収穫終了後から7月中旬まで成虫が夏期休眠する前、11月以降の摘蕾後、3月の果実袋かけ前に実施する。また、新たに苗木を導入した場合には、定植前に薬剤防除を実施し園地への持ち込みを防ぐ。幼虫は花房の奥深くや狭い隙間に潜んでいるため、薬液が十分かかるよう、摘蕾・摘果後にビワ樹全体に丁寧に散布。また、ビワ枝葉の表面の微毛が薬液をはじくことから、薬液には展着剤を混用する。
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