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【特殊報】果樹類にビサヤアカアシカタゾウムシ 県北部で初めて確認 沖縄県2023年10月4日

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沖縄県病害虫防除技術センターは、果樹類(コーヒーノキ、カンキツ類、マンゴー、パッションフルーツなど)にビサヤアカアシカタゾウムシの発生を県北部で初めて確認。これを受けて、9月29日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第4号を発令した。

ビサヤアカアシカタゾウムシ(左)・ヨナグニアカアシカタゾウムシ(写真提供:沖縄県病害虫防除技術センター)図1:ビサヤアカアシカタゾウムシ(左)、
図2:ヨナグニアカアシカタゾウムシ(以下、写真提供:沖縄県病害虫防除技術センター)

沖縄県病害虫防除技術センターによると、2022年6月に糸満市の果樹栽培施設で、コーヒーノキ苗を食害するゾウムシが確認された(図1)。その後、カンキツ類、マンゴー、パッションフルーツなど果樹類に発生するゾウムシが沖縄本島各地で確認されるようになったことから、農研機構 植物防疫研究部門の吉武啓博士に同定を依頼した結果、ゾウムシ科ビサヤアカアシカタゾウムシであると同定された。

発生状況について、沖縄本島、宮古島、石垣島の果樹類等を調査したところ、沖縄本島のみで確認されたが、今後未発生地への分布拡大および被害が懸念される。

同種はフィリピン原産で、2000年代初頭にマレーシアに侵入したと考えられている。その後、2018年にシンガポールで確認された。沖縄県では2018年に那覇市の公園で初確認。2019年に沖縄本島中南部で記録され、今回の調査で新たに北部の分布が追加された。

左から、図3:コーヒーノキ新葉の食害(写真提供:沖縄県病害虫防除技術センター)、図4:シークヮーサー葉の食害痕、図5:マンゴー果房の食害痕と果房上成虫左から、図3:コーヒーノキ新葉の食害、図4:シークヮーサー葉の食害痕

同種は広食性で、これまで確認された果樹は、コーヒーノキ(図3)、シークヮーサー(図4)、タンカン、マンゴー(図5)、パッションフルーツ、アボカド、ビワで新葉を中心に食害することが観察されたが、経済的被害は確認されていない。

図5:マンゴー果房の食害痕と果房上成虫図5:マンゴー果房の食害痕と果房上成虫

今回の調査では果樹以外に、ニガウリ、アカギ、イスノキ、スズメナスビ、シマイズセンリョウ、モクタチバナでも食害が確認された。その他、上記公園で8科9種が記録されている。これまで発生地で果樹害虫としての報告はない。

成虫は体長4.0~6.0ミリで、体色は赤褐色、体形はひさご型。前胸と上翅は光沢のある暗褐色~黒色の小顆粒を密に装い、雌雄で上翅の形が異なる。同属のヨナグニアカアシカタゾウムシ(図2)は、体長8.0~12.0ミリとより大形で、背面から見ると長さに対してより幅広く、小顆粒の色がより明るいことから同種と区別できる。同種の生態は明らかではないが、同属のヘデラアカアシカタゾウムシは、成虫が寄主地上部の葉を、幼虫が地下部の根を食害することから、同種も同様の食性と推測される。

同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。

果樹類については使用可能な登録薬剤はないため、耕種的・物理的防除に重点を置く。

〇発生の見られる苗木・鉢物は、ポットや鉢から抜き取って、根を含め植物体全体を流水で洗い、清潔な培養土とポットに植え替える。

〇同種は飛翔できないことから植物体と一緒に移動していると推測される。未発生地への拡散、ほ場への侵入を防ぐため、発生の見られる苗木の移動を避ける。

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