【特殊報】トマトキバガ 県内で初めて確認 滋賀県2023年10月30日
滋賀県病害虫防除所は、トマトキバガの発生を県内で初めて確認。これを受けて、10月27日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
フェロモントラップで誘殺されたトマトキバガ成虫(写真提供:滋賀県病害虫防除所)
滋賀県病害虫防除所によると、近江八幡市安土町大中に設置しているトマトキバガ侵入調査用のフェロモントラップで10月中旬に、同種と疑われる雄成虫が誘殺された(写真)。滋賀県病害虫防除所において同定した結果、滋賀県では未発生のトマトキバガであることを確認し。なお、同県内では、10月23日までに、トマトキバガによる農作物での発生および被害は確認されていない。
トマトキバガは南米原産だが、2021年に熊本県のトマト栽培ほ場において、国内で初めて発生が確認された。その後、国内各地で誘殺が確認されており、10月24日現在、滋賀県を含め36道府県で確認されている。
成虫の体長は、翅を閉じた状態で5~7ミリ。前翅は、灰褐色の地色に黒色斑が散在し、後翅は、一様に淡黒褐色。幼虫の体長は、終齢で約8ミリ。体色は淡緑色~淡赤白色で、頭部は淡褐色で、前胸の背面後方に細い黒色の横帯がある。
卵が成虫になるまでの期間は 24~38日程度で、気温が低い時期はさらに延びる。発生世代数は環境条件によって異なるが、1年に複数世代を繰り返す。成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多い。雌は一生のうちに平均で約 260 個の卵を寄主植物の葉裏などに産み付ける。
主な寄主植物は、トマト、なす、ピーマンおよびばれいしょ等のナス科植物。マメ科植物のいんげんまめも、寄主植物として報告されている。トマトでは、茎葉の内部に幼虫が潜り込んで食害し、孔道が形成される。また、葉の食害部分は表面を残して薄皮状になり、白変や褐変した外観となる。さらに、幼虫は果実に潜り込んで食害するため、果実表面に数ミリ程度のせん孔痕が生じるとともに食害部が腐敗し、果実品質が著しく低下する。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇ほ場内をよく見回り、見つけ次第捕殺する。
〇施設栽培では、ハウスの開口部に防虫ネット等を設置し、侵入を防止する。
〇トマトキバガと疑われる虫を見つけた場合は、速やかに最寄りの農業普及指導センターまたは病害虫防除所に連絡する。
〇発生を拡大させないため、被害葉や被害果実はほ場に放置せず、速やかに土中深くに埋却する。もしくは、ビニール袋などに入れて一定期間密閉し、寄生した成幼虫を全て死滅させるなどして適切に処分する。
〇薬剤による防除を行う場合、発生を確認後、早期に実施する。なお、10月27日現在、同種に対する登録のある農薬の適用作物はトマトおよびミニトマトのみ。薬剤の散布にあたっては、ラベルを確認し、農薬使用基準(使用時期・使用回数等)を遵守する。
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