カゴメ、NECと農業ICTプラットフォーム「CropScope」北イタリアで初導入 DXAS2023年11月17日
カゴメと日本電気(NEC)が設立した、AIを活用して加工用トマトの営農支援を行う合弁会社DXAS Agricultural Technology LDA(DXAS)は、NECの農業ICTプラットフォーム「CropScope」の少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御機能を組み合わせたサービスを、北イタリアとポルトガルのトマトほ場に導入した。4月~8月に実施した実証試験では、導入していない区画と比較して少ない灌漑量で収量が増加。また、ポルトガルの大規模トマトほ場にも同時期に商用導入し、高い収量が得られた。3社は今後、再現性を確認しながら導入地域を拡大し、世界各地で問題となっている営農現場における水不足に対応する。
農業資材やエネルギー価格の高騰に加え、干ばつなど気候変動が世界各地で農作物の栽培に大きな打撃を与えており、持続可能な農業にとって水不足対策が喫緊の課題となる。一方、少量多頻度灌漑は、最適な土壌水分量を保ちながら水の消費量を削減する栽培手法として知られているが、変動する土壌水分量を最適に保ちながら細やかな管理が求められる。広大で複数のほ場をもつ生産者には判断が難しく、管理が複雑で作業負荷が大きいことから普及が進んでいなかった。
今回の取り組みでは、「CropScope」のサービスメニューである少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御機能を、北イタリアとポルトガルのトマトほ場に導入。初導入となる北イタリアでの実証試験では、「CropScope」を活用していない区画と比較して、約19%少ない灌漑量で収量を約23%増加した。以上のことから、これまで「CropScope」を導入していた地域とは気候や土質などが異なる新たな栽培環境でも、良好な成果が得られることを確認。また、ポルトガルでは、熟練指導者の技術も組み合わせることで、約21ha(2ほ場合計)と大規模な商用圃場で148t/haと高い収量が得られた。
カゴメとNECは今後、この取り組みから得た知見を「CropScope」の機械学習に取り込むとともに、DXASも加えた3社で実証試験を繰り返し、再現性を高めることでAI営農アドバイスの精度を向上させる。またDXASは、同サービスを世界の加工用トマト市場に普及させることで、営農支援を加速する。
北イタリア試験ほ場における取り組みの概要と結果
ポルトガルDXAS商用大規模ほ場における取り組みの概要と結果
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