水稲直播 安定生産に向けた栽培方法について検証データを発表 ナイルワークス2023年12月15日
ナイルワークスは11月15日、北海道岩見沢市民会館で開かれた「令和5年度 第2回空知スマート農業推進協議会」で、北海道美唄市と共同で行ってきた水稲直播の生産を安定させる新しい栽培方法について、環境センサー・ドローンセンシング・画像解析による精密な検証データを発表した。
北海道空知総合振興局は、管内の営農体系に即したスマート農業の検証・普及を目的として、2021年に「空知スマート農業推進協議会」を設置した。同協議会は、空知管内の自治体やJA等により運営されるスマート農業の関係組織が参加し、先進事例や試験データを共有している。ナイルワークスはその構成員である美唄市ICT農業推進協議会に参画し、実証試験の実施などを通して、スマート農業の推進に貢献している。
また、地域活性化起業人制度を活用し、美唄市へナイルワークス社員が出向。農業の現場に入り、自治体・地域の農家様と一体となってのスマート農業の活用による農業の効率化につなげている。
水稲の直播栽培のメリット・課題
水稲栽培には、苗を植える"移植栽培"と、種子を水田に直接まく"直播栽培"がある。日本では移植栽培が一般的だが、直播栽培は、時間やコストのかかる"育苗"や"田植え"の作業を省くことができるため、経済性、作業効率性の観点で期待されている。しかし、直播栽培は苗を自然環境で育てるため、苗立ちの安定化に課題があった。そこで、ナイルワークスは、独自のドローンセンシングや画像解析AIを活用し、様々な環境下における水稲の生育初期状態を分析することで、高い苗立ち率を実現する方法を検証・提案した。
直播栽培を安定させる水管理方法・検証データ概要
稲の発芽には、種籾の含水率が重要とされている。含水率は、種籾が浸かっている水の温度と時間で決まるが、水田全域でそれを計測することは、これまで現実的ではなかった。そこで、ナイルワークスは、ドローンや水田センサーから計測したほ場の高低差、水位・水温のデータ分析により、適切な含水率(30%)に達する時間を推計することに成功。また、その後の苗立ちを独自ドローンセンシングと画像解析AIで検出・分析することで、適正な湛水時間を検証し、その実現のための具体的な水田の水管理方法を提案した。この方法により、水稲直播の課題の一つである苗立ち率が高まり、収量の安定化に寄与することが期待される。
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