【特殊報】プリムラ類株枯病 国内で初めて確認 神奈川県2024年2月16日
神奈川県農業技術センターは、プリムラ類にプリムラ類株枯病(仮称)の発生を国内で初めて確認。これを受けて、2月13日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第2号を発令した。
図1:葉柄、地際部の褐変を伴う株の萎凋症状(写真提供:神奈川県農業技術センター)(左)、
図2:地際部(中)、葉(右)における黒色の分生子殻(写真提供:神奈川県農業技術センター)
神奈川県農業技術センターによると、2022年9~10月に県内の生産者から同所普及指導部を通じて、プリムラ類の下位葉葉柄や葉身の一部が褐変、株全体が萎凋、枯死する症状(図1)の診断依頼があった。褐変部や萎凋株の葉柄基部(地際部)には黒色の分生子殻が多数観察された。
同所生産環境部で、分離糸状菌の接種試験、形態観察および遺伝子解析をした結果、病原菌をPhoma様菌類(Phoma-like fungi)の一種であるStagonosporopsis sp.と同定した。
病徴は、地際部および下位葉葉柄や葉身の一部の褐変、株全体の萎凋、枯死。Stagonosporopsis属菌には、種子伝染する種が報告されている。また、Stagonosporopsis属が含まれるPhoma様菌類では、水媒伝染や土壌伝染が報告されており、同属菌Stagonosporopsis sp.も、その可能性が高い。罹病残渣上に分生子殻を形成し(図2)、伝染源となる。
国内でのStagonosporopsis属菌による病害は、カノコソウ葉枯病等で報告されている(利根川ら、2017)。同属菌によるプリムラ類の病害は、国内初発生となる。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇2月8日現在、プリムラ類株枯病(仮称)に対する登録農薬はない。
〇種苗によって伝搬されるため、健全苗を導入する。
〇病原菌の汚染のない清浄な用土を使用する。
〇生育期は、分生子の飛散により感染が拡大すると考えられるため、発病株は培土とともにほ場外に持ち出して適切に処分する。
〇排水を良好にし、多湿にならないようにする。
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