【特殊報】トマトキバガ 誘殺により県内で初めて確認 神奈川県2024年9月26日
神奈川県農業技術センターは、横浜市内に設置した侵入調査用フェロモントラップにおいて、トマトキバガの誘殺を確認。これを受けて、9月25日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第2号を発表した。
神奈川県農業技術センターによると9月3日、農林水産省横浜植物防疫所が横浜市内に設置した侵入調査用フェロモントラップにおいて、トマトキバガの雄成虫2頭の誘殺を確認。現在のところ、県内において同種による農作物被害は確認されていない。
トマトキバガの成虫は、翅を閉じた静止時で体長5~7mm(前翅長約5mm、開張約10mm)で、前翅は灰褐色の地色に黒色鱗粉が散在し、後翅は一様に淡黒褐色。終齢幼虫は体長約8mm、体色は淡緑色~淡赤色で、頭部は淡褐色。前胸の背面後方に細い黒色横帯がある。
繁殖力が高く、地域によって差はあるが、年に10~12世代発生する地域もある。卵~成虫になるまでの期間は24~38日程度で、気温が低い時期はさらに延びる。成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多い。
トマトでは、幼虫が葉や茎の内部に潜り込んで食害し、孔道が形成される。食害部分は表皮のみを残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。幼虫が果実にせん孔・侵入して内部組織を食害するため、果実表面に数ミリ程度のせん孔痕が生じるとともに食害部分が腐敗する。バレイショでは地上部の加害のほか、まれに塊茎への加害が報告されている。
トマトキバガは南米原産で、ヨーロッパ、アフリカ、中米、中東、アジアに分布を拡大。国内では2021年に熊本県で初めて確認されて以降、神奈川県を含む43道府県で誘殺あるいは農作物への被害が確認されている。
主な寄主植物はトマト、ナス、ピーマン等のナス科植物。マメ科のインゲンマメへの寄生も報告されており、イヌホオズキ等の野生寄主への寄生も報告されている。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇ほ場内をよく見回り、見つけ次第捕殺する。トマトキバガと疑われる害虫や食害を発見した場合は、速やかに農業技術センター病害虫防除部に連絡する。
〇被害葉や被害果等はほ場に放置せず、土中深くに埋めるか、ビニール袋等に入れて密封することで、寄生した成幼虫を死滅させたうえで、適切に処分する。
〇施設栽培では、出入口のほか、側窓や天窓等の開口部に防虫ネットを展張する。
〇トマトまたはミニトマトでは、トマトキバガに登録のある防除薬剤を使用する。なお 、農薬使用の際は、必ずラベルの記載事項を確認し、使用基準を遵守する 。また、薬剤抵抗性の発達を防ぐため、系統(IRACコード)が異なる薬剤でローテーション散布を行う。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(166)食料・農業・農村基本計画(8)農業の技術進歩が鈍化2025年11月1日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(83)テトラゾリルオキシム【防除学習帖】第322回2025年11月1日 -
農薬の正しい使い方(56)細菌病の防除タイミング【今さら聞けない営農情報】第322回2025年11月1日 -
酪農危機の打破に挑む 酪農家存続なくして酪農協なし 【広島県酪農協レポート・1】2025年10月31日 -
国産飼料でコスト削減 TMRと耕畜連携で 【広島県酪農協レポート・2】2025年10月31日 -
【北海道酪肉近大詰め】440万トンも基盤維持に課題、道東で相次ぐ工場増設2025年10月31日 -
米の1等比率は77.0% 9月30日現在2025年10月31日 -
2025肥料年度春肥 高度化成は4.3%値上げ2025年10月31日 -
クマ対策で機動隊派遣 自治体への財政支援など政府に申し入れ 自民PT2025年10月31日 -
(459)断食:修行から管理とビジネスへ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月31日 -
石川佳純が国産食材使用の手作り弁当を披露 ランチ会で全農職員と交流2025年10月31日 -
秋の果実王 旬の柿を堪能 福岡県産「太秋・富有柿フェア」開催 JA全農2025年10月31日 -
「和歌山県産みかんフェア」全農直営飲食店舗で開催 JA全農2025年10月31日 -
カゴメ、旭化成とコラボ「秋はスープで野菜をとろう!Xキャンペーン」実施 JA全農2025年10月31日 -
食べて知って東北応援「東北六県絆米セット」プレゼント JAタウン2025年10月31日 -
11月28、29日に農機フェアを開催 実演・特価品販売コーナーを新設 JAグループ岡山2025年10月31日 -
組合員・利用者に安心と満足の提供を 共済事務インストラクター全国交流集会を開催 JA共済連2025年10月31日 -
JA全農と共同開発 オリジナル製菓・製パン用米粉「笑みたわわ」新発売 富澤商店2025年10月31日 -
【スマート農業の風】(20)GAP管理や農家の出荷管理も絡めて活用2025年10月31日 -
農業経営効率化へ 青果市況情報アプリ「YAOYASAN」に分析機能追加 住友化学2025年10月31日


































