【特殊報】宿根カスミソウにトマトハモグリバエ 全国で初めて確認 福島県2024年10月24日
福島県病害虫防除所は、宿根カスミソウにトマトハモグリバエを全国で初めて確認。これを受けて、10月24日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第2号を発表した。
写真1:トマトハモグリバエ成虫(提供:福島県病害虫防除所)
福島県病害虫防除所によると、トマトハモグリバエは、福島県では2003年に夏秋トマトで発生が確認され、以後、夏秋露地キュウリ等の作物で県内全域に発生している(写真1)。
7月に福島県浜通り地方の宿根カスミソウで、ハモグリバエ類の加害が認められ、横浜植物防疫所に同定を依頼したところ、トマトハモグリバエであることが9月27日に判明。これまで、同種による宿根カスミソウへの寄生事例はなく、全国で初めての確認となる。
トマトハモグリバエの発生状況を調査した結果、発生が見られる宿根カスミソウのほ場では、幼虫による葉の被害痕が著しく、下位葉~中位葉まで線状潜孔がみられた。宿根カスミソウでの発生は一部の地域に限られており、現在のところ広域的な拡がりは確認されていない。

写真2:トマトハモグリバエ幼虫と写真3:トマトハモグリバエ幼虫の後気門(後気門小孔は3個)
(提供:福島県病害虫防除所)
形態として卵は、長径0.20.3mm、短径0.1~0.15mmの楕円形で半透明のゼリー状。幼虫は、淡黄色のウジ状で、3齢幼虫の体長は3mm、後気門小孔は3個(写真2、3)。また、葉に不規則な線状潜孔(えかき症状)を形成(写真4、5、6)。潜孔の末端から脱出し、土中または葉上で蛹化する(写真7)。福島県での露地越冬の可能性については不明。
写真4:葉の著しい被害(左) 写真5:葉に潜孔するトマトハモグリバエ幼虫(中央)
写真6:トマトハモグリバエによる葉の被害痕(右)(提供:福島県病害虫防除所)
写真7:葉上の蛹(左)と幼虫(提供:福島県病害虫防除所)
蛹は、長さ1.3~2.3mmの俵状で黄褐色で、成虫の体長は1.3~2.3mm、翅長1.25mm(♂)~1.7mm(♀)。頭部の大部分は黄色だが、外頭頂剛毛の着生部が黒色、内頭頂剛毛の着生部は黒色部と黄色部の境界域にある。また、マメハモグリバエやナスハモグリバエに酷似するが、成虫の頭部の配色と剛毛の位置関係により識別できる。
ウリ科、マメ科、ナス科植物等に寄生し、主にメロン、キュウリ、カボチャ、トマト、ジャガイモ、トウガラシ、インゲン、ペチュニア、シロウリ、ヘチマ、マリーゴールド、テリミノイヌホオズキ等において被害が発生する。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇同種は寄主範囲が広いため、ほ場内及び周辺の雑草を除去し、ほ場衛生に努める。
〇ハモグリバエ類の被害が見られる苗は定植しない。
〇同種は薬剤抵抗性が発達しており、効果の高い薬剤が少ないため、少発生時から防除するとともに、薬剤のローテーション散布を心がける。なお、農薬を使用する際は、必ず最新の情報を確認し、使用基準を遵守する。
〇施設(無加温栽培を含む)では、側窓に防虫ネット(目合い0.6mm以下)を張ると成虫侵入を阻止できる。
〇冬季に作付けしないハウスでは、ビニールを撤去するなど越冬場所を作らないようにする。
〇密度低減のため、夏季のハウス内の蒸し込みが有効。
〇被害残さは発生源となるため、ほ場外へ持ち出しビニール等で覆い、蒸し込み処分する。
〇ハモグリバエ類を対象とした薬剤防除を実施しても被害が目立つ場合は、最寄りの農林事務所農業振興普及部・農業普及所か病害虫防除所に連絡する。
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