【特殊報】きゅうりにCABYV 府内で初めて確認 大阪府2025年2月26日
大阪府環境農林水産部は、きゅうりにCucurbit aphid-borne yellows virus(CABYV)が府内で初めて確認されたことから、2月26日に令和7年度病害虫発生予察特殊報第1号を発表し
大阪府環境農林水産部によると、2024年11月に泉州地域のきゅうり施設栽培ほ場で、葉に退緑及び黄化症状を示す株が認められた(図1〜3)。

CABYVによるウイルス病が疑われたため、大阪府立環境農林水産総合研究所においてRT-PCR法による検定を行ったところ、CABYVを検出。そこで、農林水産省神戸植
物防疫所に同定依頼したところ、RT-PCR法およびその増幅産物の塩基配列解析から、2月10日にCABYVの感染が確認された。府内で同ウイルスによる病害が確認されたのは今回が初めて。
CABYVは、1988年にフランスでメロンやきゅうり等で初めて発生が確認。それ以降、海外40か国以上で主にウリ科野菜に被害を及ぼしている。国内では、2024に京都府のきゅうりで初めて報告され、その後、滋賀県できゅうり及びメロン、福島県できゅうりでの発生が報告。今回の大阪府での報告は国内4例目となる。
病徴(被害)としては、葉全体もしくは一部に黄化症状を示す(図1〜3)。さらに症状が進むと、株全体の葉が黄化する。新葉や脇芽等の若い葉には症状が見られないか、時間が経ってから黄化が生じる。
同ウイルスは、国内での媒介虫は不明。海外ではワタアブラムシやモモアカアブラムシ等のアブラムシ類により媒介されると報告されており、滋賀県でワタアブラムシによるメロンでの再現試験が実施されている。なお、汁液伝染、種子伝染および土壌伝染は確認されていない。
媒介虫は、罹病植物を吸汁することで同ウイルスを保毒し、一度ウイルスを獲得すると永続伝搬(長期間あるいは生きている限り媒介できる)するが、経卵伝染はしないとされている。感染すると落花が多くなり、1株当たりの果実数が減少することで、メロンでは40%、きゅうりでは51%減収した事例が海外で報告されている(Lecoqetal.,1992)。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)CABYVに適用のある農薬はないため、ウイルスを媒介すると考えられているアブラムシ類の防除を徹底する。
・苗からアブラムシ類を持ち込まないよう注意する。
・施設栽培では、育苗圃および本圃の施設開口部に目合い0.8mm以下の防虫ネットを張り、施設内へのアブラムシ類の侵入を防ぐ。
・施設内およびほ場周辺の雑草はアブラムシ類の発生源となるので、除草を徹底する。
・定植時等に粒剤やかん注剤を施用し、アブラムシ類の発生を予防する。
・アブラムシ類の発生が確認された場合は薬剤防除を実施する。
・アブラムシ類の薬剤感受性の低下を防ぐため、同一グループの薬剤の連用を避ける。
・施設栽培では、アブラムシ類を周辺に分散させないため、栽培終了後にすべての株を地際から切断または抜根し、施設を密閉してアブラムシ類を死滅させる。
(2)発病株は直ちに抜き取り、ポリ袋等に密閉してほ場外に持ち出して処分するか、土中深くに埋め込む等適切に処分する。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(171)食料・農業・農村基本計画(13)輸出国から我が国への輸送の状況2025年12月6日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(88)ジチオカーバメート(求電子剤)【防除学習帖】第327回2025年12月6日 -
農薬の正しい使い方(61)変温動物の防除法と上手な農薬の使い方【今さら聞けない営農情報】第327回2025年12月6日 -
スーパーの米価 前週から23円上昇し5kg4335円 過去最高値を更新2025年12月5日 -
支え合い「協同の道」拓く JA愛知東組合長 海野文貴氏(2) 【未来視座 JAトップインタビュー】2025年12月5日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】『タコ市理論』は経済政策使命の決定的違反行為だ 積極財政で弱者犠牲に2025年12月5日 -
食を日本の稼ぎの柱に 農水省が戦略本部を設置2025年12月5日 -
JAの販売品販売高7.7%増加 2024年度総合JA決算概況2025年12月5日 -
ポテトチップからも残留農薬 輸入米に続き検出 国会で追及2025年12月5日 -
生産者補給金 再生産と将来投資が可能な単価水準を JAグループ畜酪要請2025年12月5日 -
第3回「食料・農林水産分野におけるGX加速化研究会」開催 農水省2025年12月5日 -
新感覚&新食感スイーツ「長崎カステリーヌ」農水省「FOODSHIFTセレクション」でW入賞2025年12月5日 -
(464)「ローカル」・「ローカリティ」・「テロワール」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月5日 -
【スマート農業の風】(20)スマート農業を活用したJAのデジタル管理2025年12月5日 -
「もっともっとノウフク2025」応援フェア 農福連携食材を日替わりで提供 JA共済連2025年12月5日 -
若手職員が"将来のあるべき姿"を検討、経営層と意見交換 JA共済連2025年12月5日 -
IT資産の処分業務支援サービス「CIRCULIT」開始 JA三井リースアセット2025年12月5日 -
「KSAS Marketplace」に人材インフラ企業「YUIME」の特定技能人材派遣サービスのコンテンツを掲載 クボタ2025年12月5日 -
剪定界の第一人者マルコ・シモニット氏が来日「第5回JVAシンポジウム特別講演」開催2025年12月5日 -
野菜との出会いや季節の移ろいを楽しむ「食生活に寄り添うアプリ」リリース 坂ノ途中2025年12月5日


































