甘い味がする新規の香気成分を発見 甘さを感じる仕組みを解明 農研機構2025年3月17日
農研機構は、果物に含まれる香気成分の中から甘味を持つ成分を発見。また、九州大学、東京歯科大学短期大学、筑波大学、大阪大学蛋白質研究所(研究当時、岡山大学)とともに、この成分をはじめとする疎水性で甘味を示す成分は、水溶性の甘味物質と同じ甘味受容体に結合するものの、結合する場所が異なることや、マウスでは逆に甘味阻害物質として作用することなど、甘味を感じるユニークな仕組みを明らかにした。
甘味を持つ物質は一般に砂糖のように水に溶けやすいと考えられているが、植物には甘味を示す低分子の疎水性成分(香気成分など)があることが知られていた。しかし、これらの成分は甘い香りと混同されやすく、実際にどのように甘味を感じるかについては十分に解明されていなかった。
農研機構は、未知の甘味をもたらす香気成分を探索し、リンゴなどの果物や野菜に含まれるトランス-2-ヘキセナールが甘味を持つことを発見。さらに、九州大学、東京歯科大学短期大学、筑波大学、大阪大学蛋白質研究所と共同して、トランス-2-ヘキセナールと既知の甘味を呈する低分子疎水性成分が甘味受容体に結合する場所を解析したところ、これらの成分は、砂糖のような水溶性甘味物質とは異なる場所に結合することが分かった。また、マウスで実験した結果、これらの成分は甘味を感じさせないか、逆に他の甘味物質によって感じる甘味を抑えることも確認された(図1)。
図1:低分子疎水性成分の甘味/甘味阻害効果の発見。赤字は有意な甘味応答や甘味阻害効果を示す物質。左図では、点線はHBSSバッファー(コントロール群)に対する応答の平均値を示し、点線より大きな応答が甘味応答を示す。右図では、点線は1mMスクラロースに対する応答の平均値を示し、点線より小さな応答が甘味阻害作用を示す。
これらの発見は、甘味を持つ香気成分を甘味料として活用する新しい食品設計の道を開くもの。特に、砂糖をはじめとする天然甘味料と組み合わせることで、より自然な甘味を持つ低糖食品や飲料の実現が期待される。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(146)-改正食料・農業・農村基本法(32)-2025年6月14日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(63)【防除学習帖】第302回2025年6月14日
-
農薬の正しい使い方(36)【今さら聞けない営農情報】第302回2025年6月14日
-
群馬県の嬬恋村との国際交流(姉妹)都市ポンペイ市【イタリア通信】2025年6月14日
-
【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
-
【注意報】りんごに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月13日
-
SBS輸入 3万t 6月27日に前倒し入札2025年6月13日
-
米の転売 備蓄米以外もすべて規制 小泉農相 23日から2025年6月13日
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
-
担い手への農地集積 61.5% 1.1ポイント増2025年6月13日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき2025年6月13日
-
井関農機 国内草刈り機市場を本格拡大、電動化も推進 農機は「密播」仕様追加の乗用田植え機「RPQ5」投入2025年6月13日
-
【JA人事】JA高岡(富山県)松田博成組合長を新任(5月24日)2025年6月13日
-
【JA人事】JAけねべつ(北海道)北村篤組合長を再任(6月1日)2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
「麦とろの日」でプレゼント 東京のららぽーと豊洲でイベントも実施 JA全農あおもり2025年6月13日
-
大学でサツイマイモ 創生大学と畑プロジェクト始動 JA全農福島2025年6月13日
-
JA農機の成約でプレゼントキャペーン JA全農長野2025年6月13日
-
第1回JA生活指導員研修会を開催 JA熊本中央会2025年6月13日