廃棄の籾殻からエネルギーとシリカを生成 ウッドプラスチックテクノロジー2020年2月21日
ウッドプラスチック製敷板やパレットを製造販売するウッドプラスチックテクノロジー(鳥取県倉吉市谷)は、籾殻を熱利用する籾殻処理炉の販売を開始した。
JAいみず野で導入されている籾殻処理炉
籾殻処理炉は、同社の出資先であるNSIC(富山県射水市)が開発した籾殻を高度なコントロール技術で熱処理し、非晶質の可溶性シリカを多く含むシリカを製造する設備。製造されたシリカは、農業・工業分野で利用でき、籾殻から熱エネルギーも得られ有効に利用することができる。
籾殻は、毎年育つ稲から安定して採れる資源。国内で年間200万トンと大量に発生しているが、燃焼条件のコントロールの難しさから、エネルギー源としては未利用の資源だ。
籾殻燃焼時に排出される二酸化炭素は、稲が成長する際に大気中から吸収したものに由来し、カーボンニュートラルとして扱われる。例えば、化石資源である重油に代わる熱源として利用すれば、二酸化炭素排出量を削減。籾殻処理炉1台で重油420キロリットル分を代替し、年間7000時間稼働したとして1100トンの二酸化炭素排出量削減効果があるという。1年間で代替できる重油420キロリットルは、約3000万円分で、籾殻処理炉の投資額は約1億円であることから、熱を有効利用できれば投資効果が期待できる。
籾殻処理炉は、富山県射水市のJAいみず野で2018年に導入された。域内で発生する籾殻からシリカを製造し、熱はイチゴ栽培用の農業ハウスに利用している。籾殻処理炉はカントリーエレベーター横に設置され、1時間あたり籾殻120キロ投入しシリカを20キロ製造。シリカは、農業用の土壌改良剤として販売されている。
籾殻から得られたシリカの工業的な利用としては、同社の養生用マット(製品名フィットくん)に合成ゴムの添加材として利用され、他にも複数の分野で、鉱物から採られたシリカに代わる、バイオマス由来の材料として開発が進められている。
同社は、シリカの用途を実用化し、付加価値を高めていくことが籾殻の有効利用拡大には必要な課題として取り組んでおり、2月26日より東京ビッグサイトで開催予定のバイオマス展にも出展する。
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