輸入尿素 前期比94%値上げ 過去最高水準 2022(令和4)年秋肥価格2022年5月31日
JA全農は5月31日、2022(令和4)肥料年度秋肥(6~10月)価格の決定内容を公表した。輸入尿素が前期比(春肥対比)で94%値上げとなるなど多くの品目で過去最高水準の価格となった。
肥料原料は、世界では穀物相場の上昇で需要が旺盛となるなか、ベラルーシに対する経済制裁と昨年10月からの中国の輸出規制などで需給がひっ迫して価格が高騰していたが、今年2月のロシアのウクライナ侵略でさらに需給がひっ迫した。
ロシアやベラルーシ、中国という世界有数の肥料輸出国からの輸出が停滞し、限られた代替ソースに世界中から需要が集中した。
窒素、りん酸、加里の国際市況は、すべてが史上最高値まで上昇している。
全農によると前回の高騰は2008年で、塩化加里は国際市況で1t1000ドルを超えたが、今回は3月に同1200ドルまで上昇した。
また、円安の急激な進行も値上げに影響した。
尿素は輸入が+94%、国産が+73%、塩化加里は+80%、価格指標となる高度化成肥料(15-15-15)は+55%と「過去に経験のない大幅な値上げ」(全農)で、これらの品目の価格水準は過去最高だという。
ただ、価格はJA全農が県JAや経済連向けの供給価格であり、JAや農家向けの供給価格の変動率ではない。
値上げには海上運賃の高騰も影響した。肥料の輸送に用いる小型船の海運市況はコンテナ船の代替として引き合いが強いという。ロシアのウクライナ侵略で穀物の輸送距離が延びることや、船舶燃料も高騰している。
JA全農は、輸入先の切り替えにかかるコスト上昇を支援する国の政策も活用しながら、中国から輸入していたリン安をモロッコから緊急輸入しているほか、塩化加里ではカナダからの輸入量を増やすほか、中東からの輸入も行うなど調達先の多元化に取り組み「肥料原料の安定確保を確実に進める」としている。
今後の動向については、調達が困難となっているロシア、ベラルーシ、中国をめぐる情勢は続くと見られるため「好転する材料はない」としながらも「海外の動向をアンテナを高くしてウォッチしていく」としている。
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