評価済200圃場の80%でバイオスティミュラントの費用対効果を確認 AGRI SMILE2025年12月10日
AGRI SMILEは、全国106JA・69品目・1500haの実証データを活用し、評価済200圃場の80%でバイオスティミュラント資材の費用対効果を確認。栽培中に取得した1500ha分の生育データを解析して、Eco-LAB自主規格に基づくバイオスティミュラント資材の最適な施用条件を明らかにした。

収穫・経済性評価が完了した200圃場のデータを効果検証したところ、80%の圃場で収量・品質のいずれかに改善が確認され、費用対効果の再現率80%が得られた。具体的には、高温条件下における水稲の白未熟粒抑制や増収、根菜類・葉茎菜類の収量増加、果菜類の着果不良抑制、果樹の日焼け果抑制など、主要作物区分での改善が確認された。
気象庁によると、2024年の年間平均気温は1991〜2020年の平年値を+1.48℃、夏季は+2.36℃上回るなど、観測史上最高を記録。全国的に高温や異常気象が頻発し、農業生産に深刻な影響を及ぼしている。
水稲では白未熟粒の増加、果菜類では着果不良、根菜類・葉茎菜類・果樹では高温の影響によるサイズ低下や品質劣化に伴う出荷量減少が見られるなど、主要作物で高温障害が顕著。これらの現象は地域や作物により異なるため、従来の栽培技術だけでは対応が難しく、結果として農家所得の地域格差や市場価格の変動リスクの一因となってきた。
こうした中、欧米では気候リスクに対する新たな解決策として、植物の生理機能を活性化し、環境ストレスへの耐性を高める「バイオスティミュラント」が注目されている。AGRI SMILEはこの技術を日本の気象・土壌条件に適合させるため、農林水産省ガイドラインに準拠した科学的検証体制を整備し、JAや産地試験機関と連携しながら、気候変動下でも安定した生産を実現する技術として、バイオスティミュラントの効果を定量的に検証する取り組みを進めてきた。
今回の効果検証は、4月から12月にかけて、全国318圃場・69品目でバイオスティミュラント資材の実証を行い、栽培中に取得した1500ha分の生育データをもとに、作物ごとの最適な施用条件(濃度・施用タイミング・散布方法など)を特定。なお、同実証は、すべての資材を生産者・JAグループが有償で購入の上で実施された。
実証を行った生産現場で北海道のJA道央(レタス)は、バイオスティミュラントを使用して年間約30%の収量が改善。10haあたり資材費2660円・収入増12万5680円(10haあたり、費用対効果47倍)だった。チップバーンの発生が低減され、高温期に1つの作型も潰すことなく年間を通じた安定生産ができたという。
JA全農いわて(ピーマン)では、規格内比率が49%増、収量は40%向上した。担当者は「施用のタイミングと濃度を正しく守ることで再現率が高く、令和8年度は技術体系を確立したピーマン・キャベツ・レタス類の生産体系にバイオスティミュラント資材を組み込み、収量増・品質向上を実現し、生産者手取りの拡大を実現したい」とコメントしている。
また、新潟県のJAみなみ魚沼(水稲)は、「日々の栽培管理や登熟期間の気象条件に加えてバイオスティミュラントの施用により、未熟粒の発生が減少し整粒率が向上したことで、収量が約20%増加。今後もバイオスティミュラントの効果検証を行う」としている。
AGRI SMILEは、今回の検証で得られた成果をもとに、収量安定・品質向上・費用対効果の高い作物から順次バイオスティミュラント資材の普及を進める。特に気候変動や市場の需給バランスの影響を受けやすい水稲については、最小限の投入で最大の効果を発揮できる施用体系を構築し、各産地の条件に合わせた技術モデルとして展開する。
さらに、Eco-LAB自主規格のもとで蓄積された約1500ha分の実証データを活用し、AI・データサイエンスによる栽培最適化やGX(グリーントランスフォーメーション)領域への応用を推進。これにより、資材の機能評価や施用条件の最適化プロセスを高度化・自動化し、科学的根拠に基づく気候変動対応型農業への転換を加速させる。
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