農薬による蜜蜂の被害事例と今後の対策を公表2015年6月25日
農水省は6月23日、「平成26年度蜜蜂被害事例調査の結果と今後の対策について」をテーマに記者ブリーフィングを開催した。
農林水産省は、平成25年度から3年間、農薬による蜜蜂の被害事例に関する調査を実施している。今回は平成26年度に報告のあった被害事例について取り纏め、今後の対策と併せて公表したものだ。概要については、消費・安全局農産安全管理課の瀬川雅裕課長が説明した。
調査期間中、79件の蜜蜂被害が報告されたが、25年度と同様に水稲の開花期とその前後に被害が多いことから、水稲のカメムシ防除に使用された殺虫剤を、直接浴びたことが原因と考えられるとした。
周辺に水稲が栽培されていない地域などでも被害事例が報告され、蜜蜂から殺虫剤成分が検出されたが、周辺農作物との関係を解析するためには使用された農薬の情報が不十分だった。
26年度に呼びかけを行った結果、水稲のカメムシ防除時期には、農薬使用者からの情報提供の改善が認められたが、個々の養蜂家まで十分に情報が伝わっていない場合もある、という課題が明らかになった。
被害が減少した地域では、水田の近くに巣箱を設置しない、農薬を粉剤から粒剤に切り換える、蜜蜂の活動が盛んな時間帯の農薬散布を避ける、などの取り組みが行われていた。
今後の対策としては、水稲のカメムシ防除に伴う蜜蜂被害を軽減するため、養蜂家と農家の情報交換を徹底するとともに、周辺で水稲が栽培されていない地域でも殺虫剤が検出された事例があったことから、水稲以外の作物についても情報交換を推進するよう、6月23日付で各都道府県に通知を出し要請していく。
水稲は蜜源作物ではないので、養蜂巣箱の設置場所を水田近くにする必要はないが、稲の花粉は蜂の食用になるらしい。
蜜蜂被害が発生した79件のうち、37件で死蜂が採取され、分析したところ26検体から高い値でネオニコチノイド系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤、フェニルピラゾール系殺虫剤、マクロライド系殺虫剤が検出されたという。
これらは当該殺虫剤に暴露したことが被害の原因となった可能性があると考えられるという。
しかし、農薬と蜜蜂被害の因果関係は解明されているわけではない。
農水省は農薬メーカーに対し、農薬ラベルを見た農業者が情報交換の徹底ができるよう、農薬の使用上の注意事項の見直しを今年から要請していく方針だ。
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