【コラム・ここがカンジん】協同組合と「経営」2014年4月4日
経営は「経営主義」などといって、協同組合では常に排斥の対象とされる。もちろん、協同組合の経営が組合員の協同活動から離れ、規模の拡大や合理化だけを進めれば、それは経営主義と批判されるべきものだ。しかし、経営はそれ自体、協同組合にとって大変重要なものだ。
その重要な経営について、実はJAや研究者の中でもあまり深く考えられることがないように思われる。これまでの経営についての一般的な考えは、組織・事業・経営の「鼎(かなえ)論」であろう。
◇
JAでは多くの場合、組織・事業・経営の3つの観点からさまざまなことが説明されるが、「鼎(かなえ)論」では、組織・事業・経営のそれぞれが鼎の3本柱としてJAを支えると説明され、この3つの要素は、並列なものとしてとらえられる。
こうした説明は、一見説得力を持つように思えるが、経営の本質を説明したものではなく、むしろ経営についての正しい認識を阻害する。この考え方からは、組織や事業と経営は対立概念になり、JAは経営体であると同時に運動体だというような説明が行われる。
◇
だが、組織・事業・経営はそれぞれ別なものではなく、組合員の組織活動と事業活動をトータルで運営して行くのが経営と理解すべきだ(逆に言えば、組合員の組織活動と事業活動が経営を支えているともいえる)。
組合員の組織活動と事業活動をトータルで運営して行くのが経営というように考えれば、経営問題は協同組合やJAにとっての中心的課題である。協同組合やJAの経営者は、経営主義などと批判を受けないよう、組合員の組織活動と事業活動を経営に生かし、いかに協同組合らしい経営を行って行くかが問われる。
それでは、協同組合らしい経営とは何を指すのか。協同組合らしい経営の内容はさまざまに考えられるが、そのキーワードは「組合員参加の経営」をいかに実現して行くかということだろう。
「組合員参加」のキーワードは、「JA綱領に」も掲げられており、組合員参加を提唱する「JAにじ」の前組合長の足立武敏氏は、星の数ほどの組合員グループづくりを進めた。だが、組合員参加はグループづくりだけに止まらない。
◇
経営は、一般的に「Plan・Do・See」(計画・実行・見直し、PDCAとも)のサイクルによって行われるが、JAでは、このPDCAサイクルの全般にわたって組合員参加の経営をいかに実現して行くかが重要である。経営は、協同組合やJAにとってもその生命線ともいえる存在なのだ。
重要な記事
最新の記事
-
(394)Climate stripes(気候ストライプ)【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年7月26日
-
地域医療の実態 診療報酬に反映を JA全厚連が決議2024年7月26日
-
取扱高 過去最高の930億円 日本文化厚生連決算2024年7月26日
-
【人事異動】JA全厚生連 新理事長に歸山好尚氏(7月25日)2024年7月26日
-
【警報】果樹全般に果樹カメムシ類 県下全域で最大限の警戒を 鳥取県2024年7月26日
-
【注意報】イネに斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 山形県2024年7月26日
-
今が旬の「夏酒」日本の酒情報館で提案 日本酒造組合中央会2024年7月26日
-
ヤンマーマルシェ、タキイ種苗と食育企画「とりたて野菜の料理教室」開催 カゴメ2024年7月26日
-
「ごろん丸ごと国産みかんヨーグルト」再登場 全国のローソンで発売 北海道乳業2024年7月26日
-
物価高騰が実質消費を抑制 外食産業市場動向調査6月度2024年7月26日
-
農機具王「サマーセール」開催 8月1日から リンク2024年7月26日
-
能登工場で育った「奇跡のぶなしめじ」商品化 25日から数量限定で受注開始 ミスズライフ2024年7月26日
-
東京・茅場町の屋上菜園で「ハーブの日」を楽しむイベント開催 エスビー食品2024年7月26日
-
鳥インフル 米国オハイオ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2024年7月26日
-
大玉すいか販売大幅減 小玉「ピノ・ガール」は前年比146.8% 農業総研2024年7月26日
-
千葉県市原市 特産の梨 担い手確保・育成へ 全国から研修生募集2024年7月26日
-
水産・農畜産振興 自治体との共創事例紹介でウェビナー開催 フーディソン2024年7月26日
-
新規除草剤「ラピディシル」アルゼンチンで農薬登録を取得 住友化学2024年7月26日
-
自由研究に「物流・ITおしごと体験」8月は14回開催 パルシステム連合会2024年7月26日
-
高槻市特産「服部越瓜」の漬け込み作業が最盛期2024年7月26日