【コラム・森田実の政治評論】平和意識、地方から 集団的自衛権論議に危機感2014年7月1日
・政府の強気と報道が裏目に
・公明党の存在、選挙に不可欠
・揺れ始めたか自公連立の姿
・地方に高まる政治への緊張
◆政府の強気と報道が裏目に
閣議決定を行うためには自民・公明両党の協議で合意しなければなりません。合意しないままで閣議決定を求めれば、公明党出身の閣僚は同意できないことになります。強引にやれば、自公連立は事実上、崩壊します。
次の衆院選までに2年6か月、次の参院選までに2年あります。自公連立が破綻したならば、安倍政権と自民党は、日本維新の会、みんなの党との協力で政局を乗り切ろうとするでしょうが、選挙ということになると公明党の巨大な組織力にはとうてい及びません。もしも、800万票もの公明党票が反自民勢力と一体化すれば、自民党政権の存続は危うくなります。
次の国政選挙で政権が変われば、集団的自衛権に関する閣議決定が取り消される可能性すらあるのです。自民党にとって公明党との協力は、必要不可欠な条件なのです。だから簡単には連立は解消できないのです。
◆公明党の存在、選挙に不可欠
現在のマスコミ報道の情報源は、ほとんどが政府(官邸)と自民党です。政府自民党は、公明党は簡単に同意する、と見ていたようです。この楽観的見方がマスコミ報道に反映しました。
6月12日の『毎日新聞』朝刊「集団的自衛権:公明、行使一部容認へ 72年見解を援用」の報道が公明党内に波紋を広げました。
それまで『公明新聞』は、「従来の憲法解釈を変更しない、安倍首相自民党がどうしても憲法解釈を変更するなら憲法第96条に従って改正を行うべし、国会と国民の議論を尊重すべし」と「Q&A」などの形式で主張していました。「公明一部容認」の報道は、とくに古参の公明党支持者に衝撃を与えました。「妥協」反対の党員が増えました。
◆揺れ始めたか自公連立の姿
公明党支持層の中に「公明党は自公連立政権を離脱しても公明党の基本理念と信念を守り抜け」との主張が起こり、公明党国会議員を突き上げ始めたのです。
公明党執行部は、依然として、自民党との対話を通じて歩み寄り合意点を探る方針ですが、自民と公明の相違はかなり大きく、歩み寄りは簡単ではありません。
自民・公明の閣議決定をめぐる折衝が難航すれば、安倍首相主導の「夏に集団的自衛権行使容認の閣議決定」、「秋に自衛隊法改正」、「年末までに日米防衛協力指針改訂」のスケジュールに支障が生ずるかもしれません。
◆地方に高まる政治への緊張
公明党支持者が胸の中にもちながら抑えていた平和への強い意識が爆発を起こしたと私は見ています。平和意識の急激な広がりが自公連立政権を揺さぶっています。自公連立から離脱しても公明党の基本理念を大事にすべし、との主張は公明党支持者の中の、とくにベテラン層から強く出されているようです。ただし、若手はまだクールのようです。
自民党内にも、公明党が連立から離脱するなら日本維新の会、みんなの党などと新たな連立を組んでも構わない、という強気の主張もあるようですが、2015年春の統一地方選挙の候補者の中には緊張感が高まっています。自民党の地方組織の中には、集団的自衛権問題は無理してはいけないとの声が高まってきています。執行部批判が出始めました。
集団的自衛権をめぐる自公協議は延長戦に入りましたが、新自由主義的な農業改革、雇用改革などは、ほとんどこれからの課題です。2015年春の統一地方選挙に動き出した地方の安倍政権への対応が大きく変わる可能性が出てきました。地方の動きには注目です。
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