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働く人のバカンスを2014年8月4日

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【森島 賢】

 猛暑がつづき、バカンスの季節になった。地方の民宿などは、観光客で賑わっていることだろう。
 政府は「農観連携」と名づけ、農村を観光業と連携して活性化しようとしている。それを、アベノミクスの成長戦略の1つにしている。
 はたして、成功するだろうか。成功させねばならぬ。そのために必要な条件は何か。

 バカンスといえば、フランスが本場である。この時期になると、パリは人かげが、まばらになるという。大部分の人たちが地方へ出かけるからだ。
 日本はどうか。日本のバカンスは、お盆の時期だが、この時期になると、町の人たちの多くは、故郷へ帰って、お墓参りをする。その結果、東京は人が少なくなって、都心部の交通渋滞がなくなる。また、野菜が売れなくなる。野菜の卸売市場は、今年は14日から16日まで休場する。

 日本とフランスとの間には、大きな違いがある。それは、バカンスの期間の長さである。
 日本は、お盆の前後の、せいぜい1週間程度だが、フランスでは1か月程度休むのが普通だ。もちろん有給休暇である。
 バカンスだけではない。フランスの労働者の休暇は長く、労働時間は短い。1年間の総労働時間は、平均で1402時間である。日本の1765時間と比べると21%も少ない(資料は厚労省「厚生労働白書」2014)。

 日本人は勤勉で、フランス人は怠け者なのか。勿論そうではない。法律で長い有給休暇を認めているのである。
 フランスの有給休暇の長さは、戦前の1936年は2週間だったが、戦後になって、1956年に3週間、1969年に4週間、1982年には5週間と次第に長くなった。国会が法律を作って、長期の有給休暇を企業に義務づけたのである。
 フランス人は遊び好きなのか。フランスの政治は、怠け者に寛容なのか。そうではない。長期の有給休暇は、労働者が労働組合を通し、政治に要求して闘い取ったものなのである。
 こうして、バカンスは金持ちだけではなく、普通の働く人のものにもなった。

 フランスと比べて、日本の労働組合は何と無力なことか。
 今日からTPPの日米交渉が再開され、農産物の重要5品目が議論されるというのに、日本の労働組合は、他人ごとのように傍観している。TPPの推進派なのだ。原発の再稼働にも反対しない。財界の言うがままになって、労働者の利益を顧みない。
 こんなことでは、労働時間の短縮はのぞめないし、長期間の休暇は期待できない。それどころか、より過酷な長時間労働を強いられるだろう。

 これでは、政府がいう「農観連携」は、偏ったものになるだろう。またしても外需に依存することになる。つまり、外国人観光客が主な顧客になってしまう。
 外国人観光客は、日本人が僅かな休暇しかとれずに働き、あるいは、不正規労働で深夜まで働くのを横目で見ながら観光することになる。彼らに見せたくない、日本の哀れな後進性をさらけ出すことになる。それをみて、彼らは、日本は手本にしたくない、日本人に生まれなくて良かった、とひそかに思いながら帰っていくだろう。
 日本人として、まことに恥ずかしいことである。

 「農観連携」というなら、普通の労働者がバカンスを楽しめるような条件を作らねばならぬ。フランスを手本にして、普通の労働者が地方の農村地帯で長期間滞在できるように、長期の有給休暇を義務づける法律を作らねばならぬ。そうすれば、農業者と労働者が互いに肌で理解し合えるようにもなるだろう。
 フランスでは、バカンスの期間に、パリから地方へ行くだけでなく、地方からパリへ行って長期間滞在する人も少なくないという。そうして、村と町の人たちが交流する。こうしたことが、フランスの手厚い農業保護政策の全国民的な理解の基礎になっているのだろう。

 「農観連携」は、農業者の所得を増やす機会だけでなく、観光に訪れた労働者が農村を理解する機会にすることもできる。そうなれば、多くの労働者が農業保護政策を理解し、賛同することになるだろう。労働者が有給休暇の長期化を要求するなら、農業者は熱い声援を送るだろう。
 「農観連携」が成功する条件は、「労農連携」なのである。

 

(前回 TPP反対と農村の知識人

(前々回 安倍内閣の歪んだ農業観

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