玉虫色の自民・民主TPP公約2014年12月8日
選挙戦が、たけなわである。
TPPは、農政の今後を大きく揺るがす政策である。
選挙後の新年から、TPP交渉が再開される。妥結するにしろ、長期中断するにしろ、いずれ決着するだろう。いまのままで妥結すれば、これまでの農政は、全て吹き飛んでしまうだろう。
選挙公約などで、2大政党である自民、民主の両党のTPP政策をみると、見分けがつかぬほど、よく似ている。しかも、どうにでも解釈できるほどに玉虫色である。
これでは、2大政党以外の政党に投票するか、2大政党なら候補者個人のTPP政策を、よくよく吟味して投票するしかない。
選挙公約などで、各政党のTPP政策をみてみよう。そこには、維新の党のような積極的賛成派から、共産党のような即時撤退派まで、さまざまな政策を掲げている。賛成派から反対派までの序列は、次の図のようになるだろう。

ここで問題なのは、2大政党の民主党と自民党が、同じように聖域を守り、国益を確保する、と言っていることである。これでは選択できない。しかも、玉虫色である。
◇
「聖域を守る」とは何か。それは、聖域である重要5品目などの関税切り下げを、断固として拒否することである。
しかし、両党は昨年4月に国会で決議したように、重要5品目の関税をゼロにしない、というだけである。これでは玉虫色で、どうにでも言い逃れできる。
極端なばあい、5品目のうちの1品目、たとえば米だけ関税をゼロにしなければ、他の4品目の関税は、全てゼロにしてもいいことになりかねない。米だけ1%の関税を残せば、それで国会決議を守った、と言い逃れをするだろう。それでは、日本の農業は壊滅する。
◇
「国益を確保する」とは何か。いったい誰にとっての国益か。それは、99%の人たちを含む全ての国民にとっての利益である。
しかし、財界の利益だけが国益で、99%の人たちは、財界から滴り落ちる利益を待て、というのだろう。待てば、やがて財界の利益が全ての国民の上に滴り落ちて、国益を確保することになる、という言い逃れをするだろう。
だが、99%の人たちは、いつまで待っても、利益は滴り落ちてこないだろう。それどころか、99%の人たちの利益を大きく損なうことになる。
◇
こうした悪質な言い逃れは、封じなければならない。
今度の選挙で、こうした言い逃れに鉄槌を下さねばならぬ。2大政党以外の政党に投票するか、2大政党に投票するなら、候補者がどのようなTPP政策をもっているか、しっかりと見定めて投票しなければならない。
投票した候補者が議員に当選したばあい、その議員は自分の反TPP政策をつらぬくか。もしもTPP交渉が自分の政見に反して妥結したらどうするか。
TPPの妥結結果は、国会で批准投票することになる。そのとき、反対票を投じるか、党議に反し、党からの除名を覚悟してでも反対票を投じるか。そのことを明確に公約している候補者かどうか。いまこそ、それを厳しく見極めて候補者を選ばねばならない。
◇
(前回 農林水産物輸出の危うさ)
(前々回 晴れのち嵐の農政)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
令和7年秋の叙勲 西沢耕一元JA石川県中央会会長ら93人が受章(農協関係)2025年11月3日 -
シンとんぼ(166)食料・農業・農村基本計画(8)農業の技術進歩が鈍化2025年11月1日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(83)テトラゾリルオキシム【防除学習帖】第322回2025年11月1日 -
農薬の正しい使い方(56)細菌病の防除タイミング【今さら聞けない営農情報】第322回2025年11月1日 -
酪農危機の打破に挑む 酪農家存続なくして酪農協なし 【広島県酪農協レポート・1】2025年10月31日 -
国産飼料でコスト削減 TMRと耕畜連携で 【広島県酪農協レポート・2】2025年10月31日 -
【北海道酪肉近大詰め】440万トンも基盤維持に課題、道東で相次ぐ工場増設2025年10月31日 -
米の1等比率は77.0% 9月30日現在2025年10月31日 -
2025肥料年度春肥 高度化成は4.3%値上げ2025年10月31日 -
クマ対策で機動隊派遣 自治体への財政支援など政府に申し入れ 自民PT2025年10月31日 -
(459)断食:修行から管理とビジネスへ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月31日 -
石川佳純が国産食材使用の手作り弁当を披露 ランチ会で全農職員と交流2025年10月31日 -
秋の果実王 旬の柿を堪能 福岡県産「太秋・富有柿フェア」開催 JA全農2025年10月31日 -
「和歌山県産みかんフェア」全農直営飲食店舗で開催 JA全農2025年10月31日 -
カゴメ、旭化成とコラボ「秋はスープで野菜をとろう!Xキャンペーン」実施 JA全農2025年10月31日 -
食べて知って東北応援「東北六県絆米セット」プレゼント JAタウン2025年10月31日 -
11月28、29日に農機フェアを開催 実演・特価品販売コーナーを新設 JAグループ岡山2025年10月31日 -
組合員・利用者に安心と満足の提供を 共済事務インストラクター全国交流集会を開催 JA共済連2025年10月31日 -
JA全農と共同開発 オリジナル製菓・製パン用米粉「笑みたわわ」新発売 富澤商店2025年10月31日 -
【スマート農業の風】(20)GAP管理や農家の出荷管理も絡めて活用2025年10月31日


































