ギリシャ問題にみる政治と経済2015年7月6日
ギリシャの借金問題が、世界の政治と経済を揺るがしている。
ギリシャの経済状況をみると、失業率は約25%である。ことに若年層が高く、約50%になっている。
財政破綻の状況をみると、先月末までに返すべきIMF(国際通貨基金)からの借金を、とうとう返せなかった。その結果、世界中の株式価格が、いっせいに大幅下落した。
さっそく、EUの首脳が集まり、ギリシャに対して、財政再建の支援を続ける条件として、増税と年金の減額と公務員の解雇を要求した。しかし、ギリシャはそれを拒否した。
ギリシャは、EUの各国が経済力を使ったギリシャの経済政策、つまり政治への介入を拒否した。EUからの大波を、政治の力を使って国境で食い止めた、といっていい。EUからみると、ギリシャへの政治的介入に失敗したのである。
ここには、政治と経済の鋭い対立がある。それは、日本国内でのTPPの賛否をめぐる対立と同根のものである。
この事態を打開するために、昨日、ギリシャはEUの要求を受け入れるか、それとも拒否しつづけるか、を国民に問うた。その結果は、拒否派の大勝だった。
古代、民主主義発祥の地らしく、国民投票という究極的に民主的な方法で、問うた。その結果は、拒否派の大勝だった。拒否の政治的な正当性を得たのである。他のEU諸国も民主国家というのなら、この結果を受け入れるしかない。
専門家は、EUの政治と経済の混迷は、まだまだ続く、とみている。
◇
EUは、ヨーロッパ限定の、いわばミニ国際化である。
経済の国際化は、誰しもが否定できない不易の真理だ、とする考えがある。だから、それを受け入れるか拒否するか、という選択の余地はない、当然、受け入れるしかない、という高飛車な考えである。
この考えが誤りであることを、ギリシャの国民投票が事実として、つまり最も雄弁な方法で示した。
EUは、国際化ではあるが、それは経済に限定している。政治統合にまでは到っていない。だから、経済を国際化する政策は、不易の真理ではなく、各国の政治が独自に採否を決めることである。
◇
TPP問題でも同じ議論がある。つまり、貿易の自由化は、止めることのできない歴史の流れで、誰しも拒否できない不易の真理だ、とする考えである。そして、それを有無を言わせずに押し付け、反対論を封じ込めようとする。
しかし、それは事実に基づく真理ではない。単なる1つの政治的な主張にすぎない。ギリシャ問題でみられたように、政治の力で押し戻すことは、充分に可能である。
◇
TPP交渉も、いよいよ結論を出す時期が迫ったようだ。
交渉が決裂しても、妥結しても、自由化論者は、輸入自由化の主張を断念しないだろう。
かりに決裂しても、自由化論者はあきらめない。今後は、TPPとは形をかえて、FTAやEPAの形で自由化を迫ってくるだろう。
また、万一妥結しても、それで満足しない。今後は、さらに徹底した自由化を迫ってくるだろう。
輸入自由化の議論は今後もつづく。息を抜くひまはない。どのような自由化にするかは、政治に力で決まるし、その後、政治の力で覆すこともできる。
◇
農業に破壊的な影響をもつTPPなどの重要な政策問題は、単なる経済問題ではない。政治問題である。
単なる経済問題なら、問題を決定するときに、1株の株式が1票の決定権をもてばいい。しかし政治問題を決定するときは、1人が1票の決定権をもつ。それが民主主義である。
この決定方法は、今度ギリシャが採った方法でもあるし、農協など協同組合が採っている、誇るべき民主的な決定方法である。
(前回 大連の凛とした女性たち)
(前々回 中国の米は5kgで470円)
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