【コラム・目明き千人】委託販売こそが農家にメリット2016年10月21日
農協が組合員から買取りをせずに委託方式をとっているのは、売買のリスクを取らず手数料は入るからだと農協批判の材料としている。販売の実務としては委託よりも売買の方がむしろ面倒がなく利益を上げられる。委託方式をとっているのは、「出来たものを売る」のではなく「売れるものを作る」ための情報を農家と共有するためである。
青果物で説明すると、農家が出荷したものを農家別、規格別に選別をして規格別にkgを記録しておく。販売は規格別に行い、相場の変動リスクを軽減するために複数の販売先、一定の期間の価格をプールした加重平均の価格で農家の規格別の出荷数量に単価を掛けて精算をする。従って上位等階級のよいものを出荷した農家は手取りが多い。出荷した品質が正確に反映された価格で清算する。各農協には作目別の品目部会があるので、この方式を基準にしてそれぞれの地域、品目に合った方式で運営している。買取りであれば農協と業者のどちらが高いかでお終いである。農家は両者を天秤にかけることが販売となる。
委託であれば何故このような価格になったのか流通各段階の価格を農家に説明が出来る。
新品種や出荷時期などの工夫が出来る。さらに、手数料、選果や運賃などのコストの明細をつけることで農家の手取り額を増やすための改善策を農家と協議が出来る。
生産資材も同様である。各地域の土壌、気候、品目、高品質化に合わせた肥料や農薬を農家の要望を受け、試験場やメーカーなどと協議をしてそれぞれに最も適した資材を農家に供給をしている。肥料などは輸入原料や製造のコストから農家までの輸送費も計算をしている。さらに販売結果を見て栽培方法や土壌分析をして施肥の量や方法の改善策をとっている。
農協の取り扱いのシェアーが高いのは単協、連合会が機能分担をして長期間にわたる努力を農家が評価をして一緒に研究を重ねているからである。価格だけを比較して、外国よりも高いのは農協が独占的な地位を乱用して不当な利益をとっている、と的外れな批判をしている。
規制改革推進会議の有識者や評論家の先生方の誤解や認識不足の批判に対しては「丁寧な説明」ではなく「正確な説明」をして「自己改革」ではなく自信を持って反論すべきである。
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