(053)社会人への月1冊読書のすすめ2017年10月20日
現在、大学設置基準に定められている卒業に必要な単位数(卒業所要単位という)は124単位である(注1)。 これを単純に4で割れば1年間に31単位となる。
通常、大学は前期・後期という形で1年間が2学期に分かれ、各々が15回の授業+試験等により構成されている。年間約30単位ということは半期で15単位が必要であり、講義系の授業を1科目2単位とすれば、半期で7~8科目の履修が必要になる。実際には、実験・実習、ゼミなど若干単位数が異なるケースがあるが、ここでは全てが講義系科目で2単位として考えてみた方が全体像はつかみやすい。
半期に7~8科目の履修、各科目に教科書があり、それを4年間続けるのが大学というイメージを作ると良い。市販のハードカバーで1500~2000円程度の書籍の厚さは概ね300頁前後、章立てを見ると10~15章位のものが多い。分野や中身にもよるが、大学の授業をかなり単純化し、1科目で1冊の教科書を半期で読むとしてみよう。単純計算で1回20頁相当×15回=300頁、これが1科目となる。年間に直せば15冊、4年間では60冊になる。教科書を備えている学生は、机の上に全ての教科書を並べると卒業時には机の幅で2段位になるだろうか。学費を出す親の目線からはこれがチェックポイントにもなる。
※ ※ ※
さて、大学では何を教えているのかという議論をよく聞くが、誤解を恐れずに言えば、教科書だけで4年間に300頁位のハードカバーを「最低」60冊は読む、あるいはそれに相当する実習・実験等、これを前提としたカリキュラムをこなすことと言ってもよい。
ここで注意が必要なのは「単位」である。
元々8時間労働を週5日、土曜日は半日労働5時間として、週に45時間働いた場合が1単位の労働量である。講義系科目で2単位とは、1週間に1度の授業であれば半年で90時間分の(頭脳)労働をして初めて単位が取得可能になる。15回で割れば1回は6時間である。そのうち教室での授業時間は1.5時間であるため、残りの4.5時間は日本流に言えば「予習・復習」の時間となる。
現在の大学設置基準では、1コマ90分は2時間の授業として計算するため、上の計算では1回6時間のうち、授業が2時間、教室外(予習・復習等)が4時間になる。
簡単に言えば、仮に週に8コマ履修している場合、授業の他に4時間×8コマ=32時間の自習時間が必要となる(なお、筆者は最近、どこでも使われている「学修」という表現は嫌いなので、あえて論語以来の伝統を持つ「学習」と表記する)。
それにしても、土日のどちらかで10時間学習し、1日は休んだとして、月~金まで毎日約4.5時間は自分で学ぶ時間が必要になる。このとおりの生活をしている大学生はもちろんいるだろうが、授業のみの参加で教室外の時間の多くをアルバイトに向けている大学生が多いことは残念ながら昔から変わっていない。
※ ※ ※
むしろ、ここで言いたいことは、大学生の学習云々よりも、社会人になってからで良い、月に1冊位はハードカバーの本を読む生活を維持してみたらどうか...という点である。
300頁程度の書籍を毎月1冊位読む習慣を20~30代のうちにつけた人は、40~50代に到達したときに、少なくとも知識の面では複数の大学の学部を出たことと同じ程度の知識量を身に付けることが出来る。年間12冊であれば5年で60冊、これを最低水準として、20年継続すれば大学の教科書としては4つの学部の分量に相当するという「机上の空論」の計算が出来る・・・。若い時代の人間関係構築や友人との交友など、大学生活は知識の取得のみではない様々な恩恵があることは十分に理解した上での話である。大学生が勉強しないと嘆く前に、社会人も継続して本を読む方が良い。振り返ってみたら1年間にまともな本を1冊も読んでいない社会人はかなり多いと思う。
仕方がない事ではあるが、我々の多くは読書をするにしても自分の好みに偏る傾向がある。その意味で好きな分野は年齢とともに深くはなるが、いつの間にか知らない分野も多くなる。意識して他の分野の書籍を継続して読むことで、新しい知識や技術を取得するだけでなく、世の中を見る時に異なる視点や価値観をも取得することが出来るようになる。
注1:文部省「大学設置基準第32条1項」、1956年。
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