6野党の勝利方程式2017年11月20日
先月の総選挙の結果は、与党の圧勝といわれている。たしかに、議席の3分の2を与党で占めたのだから、圧勝といっていいだろう。野党は完敗した。
しかし、これは与党が国民の圧倒的多数の支持を得たことを意味しない。また、野党がきわめて僅かな支持しか得られなかったことも意味しない。
これは、与党の選挙協力の完璧といえるまでの老巧さを意味するし、野党の四分五裂という、弱者のための政治家としての無責任を意味する。国民は、野党間の争いの醜悪さに怒り、与党の小選挙区制を巧みに使った幻術にはまったのである。
いまの選挙制度のもとでは、弱者は比例区で、その政治的意思を表すしかなかった。
上の表は、6野党が選挙協力をしたばあい、各選挙区ごとに選挙結果がどうなったかを試算して集計し、現状と比較したものである。小選挙区での圧倒的な差が大きく影響した。
現状は、自公が議席の3分の2以上を占めている。これが1行目と2行目である。
3から6行目までは、6野党が統一候補者を立てて、選挙協力をしていたら、という想定のもとで試算した。
3行目は、6野党の得票数を単純に足し算したものが、そのまま統一候補者の得票数になる、という想定である。この想定では野党の議席数は激増する。自公は3分の2割れになる。しかし、自公で過半数を占める状況は維持される。
4行目は、6野党の得票数が単純な足し算ではなく、2.2%増え、自公が2.2%減ることを想定した結果である。僅か2.2%ではあるが、結果におよぼす影響は大きく、自公は半数割れになる。安倍一強政権は維持できなくなり、新しい政権の枠組みを模索することになる。
5行目は、6野党の得票数が、単純な足し算よりも3.9%増え、自公が3.9%減るばあいである。このばあい、6野党の当選者のほうが自公の当選者よりも多くなる。だから、6野党が中心になった、弱者のための政権ができるだろう。つまり、政権交代が現実のものになる。
6行目は、6野党の得票数が、単純な足し算よりも約6.5%増え、自公が約6.5%減るばあいである。このばあい、6野党の当選者が過半数を占める。6野党の、いわば単独政権になる。
◇
以上の試算で分かることの第1は、野党の選挙協力の重要さである。それが、ことに小選挙区でみられる。協力が成功すれば、政権交代が行われる可能性が高くなる。
第2は、選挙協力から派生する相乗効果の重要さである。ここで強調したいことは、この相乗効果は、選挙協力なしでは発生しないことである。そして、この効果は、小選挙区で充分に発揮されることである。2.2%にしても、6.5%にしても、それほど高い壁ではない。充分に乗り越えられる。
◇
以上でみてきたように、6野党が選挙協力をしさえすれば、自公は辛勝だったろう。野党は惜敗だったろう。それだけの国民の支持は、野党側にあったのである。
それなのに、なぜ自公は圧勝し、野党は惨敗したのか。
それは、野党の分裂劇が根本原因である。それをみた国民は、野党に対して一時的に愛想尽かしを喰らわせ、厳しいマイナスの相乗効果を及ぼしたのである。それを小選挙区制が増幅した。
分裂劇を仕組んだ前原誠司元民進党代表と、小池百合子元希望の会代表の責任は重い。2人の汚名は歴史に残るだろう。
◇
野党が国民の信頼を取り戻すには、野党の協力しかない。それも、党幹部だけの協力ではだめだ。こんどの失敗の原因はここにある。野党の協力は、地方の党支部や地方の支持者に根差した協力でなければ確固としたものにはならない。
それができれば、大きな相乗効果を生むだろう。2.2%の相乗効果どころか、6.5%の相乗効果も充分に期待できるだろう。野党が圧勝する素地は、国民の中に充分にあるのである。
(2017.11.20)
(前回 自民党の農村離れ)
(前々回 自民党の衰退は止まらない)
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