東アジア情勢の急変を受け入れず、対話を拒否しつづける安倍外交は限界2018年2月16日
「剛強なるは必ず死し、仁義たるは王なり」(『古文真宝』)
◆国民の常識から遊離する安倍政治
最近、一般国民の政治への無関心が広がっています。政治的関心が高い人の間では政治不信が強まっています。
国民は分裂を繰り返す野党に絶望していますが、最近、安倍政治にも飽き始めています。以下のような声を耳にしました。
「安倍内閣は佐川国税庁長官を守りつづけていますが、おかしいと思います」。
佐川氏は財務省理財局長時代に森友学園問題で追い込まれた安倍首相を救うために、「資料は廃棄した」と強弁し、安倍総理と総理夫人を守ったとみられています。しかし資料は出てきました。佐川国税庁長官の罷免や国会招致を野党は要求していますが、政府自民党は拒否しています。国民のなかに、政府自民党のかたくなな姿勢への懸念が広がっています。安倍政権と自民党は国民の声に耳を傾けるべきです。
◆広がる安倍外交への懸念
安倍総理は、北朝鮮への制裁強化を叫びつづけ、「対話」を拒否しています。安倍総理は、北朝鮮への制裁を徹底的に強めて、北朝鮮に「参った」と言わせようとしていますが、強硬すぎる外交姿勢には、疑問が広がっています。
「対話」なくして平和的な解決はありません。これは国際政治の常識です。世界的には「対話による平和的解決」が常識です。「力づくの解決」を主張しているのは、米国のトランプ政権と日本の安倍政権だけです。いまや日米両国が孤立しています。
韓国政府は「対話外交」に踏み出しました。北朝鮮政府代表団の訪韓により「対話外交」が動き出しました。米国政権内にも「対話」を肯定する動きがあります。「対話」をかたくなに拒否する強硬路線にこだわっているのは安倍政権だけです。
安倍総理の韓国政府に対する態度は高飛車です。上から目線の対韓外交は百害あって一利なし、です。
◆安倍総理の空虚な憲法改正論
安倍総理の憲法第9条改正論は無内容で空虚です。国民の一部に「自衛隊違憲論」があるから、憲法第9条の1項、2項を継続した上で、3項以降に「自衛隊」の存在を明記して、自衛隊が合憲であることをはっきりさせたい、というのが、安倍総理の改正理由ですが、まったく無意味です。国民のほんの一部に自衛隊違憲論があるのは事実ですが、国政上の障害にはなっていません。
一部の憲法学者や一部の国会議員は自衛隊違憲論の考えにこだわっていますが、だからといって自衛隊を直ちに解散しろ、と主張してはいません。国民のほんの一部の人々が自衛隊違憲論をもっているのはけしからんから、憲法改正の国民投票を行おうとするのは、あまりにも神経質で強引すぎます。
安倍総理は「国民投票で否決されたら自衛隊合憲論が否定されたことになるのではないか」との質問に答えて「たとえ否決されても政府の態度は変わらない」と強弁しましたが、これは大失言です。
「自衛隊は合憲である」との改正案が国民投票で否決されたら、政府がなんと言おうと、自衛隊は違憲の存在になります。安倍総理は、政府の意思を国民の意思の上においていますが、これは、国民主権を否定するものです。野党がこの安倍総理の大失言を批判しないのはどうかしています。安倍総理のおごりが目立ってきています。安倍総理は謙虚になるべきです。
◆平昌冬季五輪の平和効果
平昌冬季五輪における朝鮮半島の南北対話は、少なくとも東アジア情勢に変化をもたらしています。安倍政権は「北朝鮮の微笑外交にだまされるな!」との態度をとっていますが、あまりにも異常です。平和への動きのなかに、たとえ不純なものがあろうとも、平和の動きは肯定されるべきです。
1917年のロシア革命の指導者のレーニンは「平和のためなら、たとえ相手が狼であろうとも、私は握手する」と言いましたが、安倍総理は学ぶべきです。日本は米朝戦争が起これば、大打撃を受けます。米朝戦争が泥沼化すれば、北朝鮮のミサイルが日本の米軍基地だけでなく、全国各地の原子力発電所に向かうおそれがあります。そうなれば、日本は崩壊してしまいます。これは決して大げさな話ではないのです。戦争は狂気を誘発します。
安倍政権は平和を守るために必死の努力をしなければなりません。安倍総理は、米国の巨大な軍事力に頼り切っていますが、独自に平和への努力を行うべきです。
安倍総理は日米韓三国同盟の軍事力で北朝鮮を抑え込もうとしていますが、南北対話によって日米韓三国同盟は乱れ始めています。これは東アジアの新しい情勢です。安倍政権は新しい情勢に対応する新たな外交を展開すべきです。行き当たりばったり主義のトランプ外交からの自立をめざさなければなりません。
安倍政権には新たな東アジア情勢の展開に目を開いてほしいと思います。
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